【コラム】プロが教える、おいしい“焼き野菜”の5原則

採れたての野菜を分けてもらったり、立ち寄った道の駅で旬の野菜が手に入ったりしたら、野菜そのもののおいしさをしみじみ味わいたいもの。そんな時、野菜をおいしく焼ける自信はありますか? 「料理は『味』ばかりに気をとられがちですが、じつは『香り』が重要な役割を担っています。香りがうまく生かされていると、おいしさは確実に高まります」というのは「アガペ カーザマナカ」「オステリア アガペ」オーナーシェフ・真中陽宙さん。香りを逃さず焼き野菜のおいしさがグンとアップする5原則を、ぜひ心得ておきましょう。

焼いた香りでおいしさは別次元へ。焼きとうもろこしとゆでとうもろこしの違いと同じ。

焼くことの意味は野菜に香ばしさをプラスすること。素材の風味を立てること。素材が本来もっている固有の香りに、「香ばしさ」という別の香りの要素を加えつつ、素材の香りを引き立てるのです。プロの料理人は、なにより香りを意識します。味の強弱やうまみ、塩気など、気を配ることはたくさんありますが、いちばんは香りです。料理は香りで食べるもの。逆に言えば、香り高い料理に強い塩分やうまみは必要ないのです。

そこでご紹介するのは、「焼き野菜の5原則」。フライパンでしっとり香ばしく焼くためのポイントです。野菜ごとのちょっとした切り方のこつ、道具の使い方、タイミングに注目です。

1 おいしい厚さに切る。

野菜ごとに適切な「厚さ」があります。厚すぎれば火入れに時間がかかり、また1個のボリュームに対する香ばしい焼き面の比率が少なくなり、香りの効果が出にくくなります。逆に薄すぎると、水分がとんでジューシー感に欠けたパサついた焼き野菜に。種類や太さなどによりますが、1~1.2cmの厚さは確保します。


2 素材ごとに焼き分ける。

野菜の種類によって、生のまま焼くのがよいもの、下ゆでしてから焼くのがよいものがあります。また、多くはオイルをひいて焼きますが、なかにはオイルなしがよいものもあります。すべて一律ではなく、野菜ごとに異なる「最適の焼き」を目指します。

3 フライパンで焼く。

網焼きはさっぱりと焼ける印象がありますが、直火が強くあたりすぎるため、野菜から水分がとんでパサつきやすくなります。しかも表面がパサパサしたり焦げついたりしても、中まで火が入っていないこともあります。フライパンに適量のオイルをひいて焼くほうが野菜の水分がこもって半ば蒸し焼き状になり、しっとりと焼き上がります。


4 焼きたてを食べる。

香りは持続性がありません。焼き野菜は香りが命ですから、香りがピークに達している「焼きたて」を食べます。天ぷらの揚げたてが大事なのと同じです。

5 焼き上がりに塩をふる。

味つけは焼き上がりの間際にふる「あと塩」で、カラッと仕上げます。焼き始めにふると塩の作用で野菜から水分がしみ出し、水っぽい焼き上がりになってしまいます。

焼き野菜にむく野菜

葉もの野菜以外のたいていの野菜がおいしく焼けます。いも類にも相性のよい調理法です。火の入りやすさはそれぞれ異なるため、焼き方は野菜によって異なります。

下ゆでしてから焼く
かぼちゃ、ブロッコリー、れんこん、さつまいも、じゃがいも、大根、紅芯大根、にんじん、カリフラワー、さといも、そら豆、さやいんげんなど。
・そら豆、さやいんげんは完全にゆでる。いも類は約4分、その他は約2分半ゆでる。


生からオイルをひいて焼く
なす、パプリカ、ズッキーニ、セロリ、キャベツ、グリーンアスパラガス(太いものは下ゆでする)、かぶ、長ねぎなど。

生からノンオイルで焼く
しいたけ、玉ねぎ(輪切り)など。



明日はこの5原則を実践して作る、おいしい“焼き野菜ミックス”の作り方をご紹介します。
 

真中陽宙(まなか あきお)/「アガペ カーザマナカ」「オステリア アガペ」オーナーシェフ。1967年埼玉県北本生まれ。「クイーン・アリス」にて料理の基礎を、「コートドール」でスタイルの異なるフランス料理を学んだ末、パスタ好きであることからイタリアンに転身。「リストランテ・ヒロ」にて山田宏巳氏からイタリアンの基礎や発想などを学ぶ。一時「リストランテ・ヒロ」でシェフを務めたのち、「リストランテ アガペ」のシェフになる。2008年クイーン・アリスグループより独立。2014年現在の店を東京・恵比寿にオープン。

撮影:白根正治

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