【コラム】シェフ目線の旬の野菜選びと野菜グラタンのすすめ

今日はかぼちゃをはじめ旬の野菜について、シェフ目線での楽しみ方を、「アガペ カーザマナカ」「オステリア アガペ」オーナーシェフ・真中陽宙さんに教わります。野菜選びのコツがわかったら、色々な野菜をごろごろ入れた野菜グラタンもお試しあれ。

シェフ目線の旬の野菜の見方とおいしい食べ方

【かぼちゃ】
現在日本で出回っているかぼちゃはほとんどが西洋かぼちゃですが、黒皮かぼちゃや鹿ヶ谷かぼちゃなどの東洋かぼちゃも多少生産されています。かぼちゃは個体ごとにおいしさの差が激しいので、丸ごと買うときは見分けづらくてリスクがあります。半割や1/4にカットして売っているものなら断面で見て判断しやすく失敗が減ります。持つとずしっと重くて黄金色の深いものを選びましょう。

【きのこ】
いろいろなきのこがありますが、それぞれ風味や食感の違いを楽しめますし、またきのこから出る「だし」がおいしいので鍋料理や煮込み料理にも最適です。しいたけは特に個性が強く、味も風味も強いので存在感を生かせる料理に適します。しめじや舞茸、えのきたけ、エリンギなどは単体で使うよりミックスするとおいしさの威力を発揮してくれますよ。

【かぶ】
アブラナ科の越年草。歴史は古く古代ギリシャの時代から栽培されていた記録が残っています。冬野菜の代表選手で、ほくほくに煮る鍋料理や、食感と甘みを生かしたみずみずしいサラダなどいろいろ使えますね。葉にはカロテンやビタミン、食物繊維が多く含まれるのでしっかりと葉まで使いきるようにしてください。

【ごぼう】
ポリフェノールであるクロロゲン酸を多く含み、抗酸化作用が話題になっています。ですから皮はむかず、軽く洗ったら水にさらさないで調理に入りましょう。食物繊維が多く、がん予防にも効果的です。春先の新ごぼうは、香りが強くてクセは弱いためサラダに適しています。初冬に出回るごぼうは味わいが深く強いので煮込み料理やスープに適しています。

【マッシュルーム】
生でよし、加熱してよし、独特の風味とうまみを持ちます。煮込めばおいしい「だし」がでて、料理の味のベースになってくれます。ホワイト種、オフホワイト種、クリーム種、ブラウン種の4品種があり、それぞれ用途に応じて使い分けます。

【さつまいも】
品種や栽培条件により味の個体差が大きいのですが、外見ではなかなか見分けがつきません。切り口に黒っぽい蜜があふれていれば間違いなく甘いのですが、そうでなくともおいしいものはたくさんあります。切ってみなければわからないので、できるだけ太くて密度が高そうな重いものを選ぶようにしてください。

【里いも】
えびいも、さつまいもも同じですが、和のだしで煮てうすく味を含めるとおいしい素材。煮含めた段階で味として完結しているので、これを揚げれば絶対においしいに決まっています。このとき表面をパリッサクッ、中をふわっと揚げるために、ころもはでんぷん100%の片栗粉かコーンスターチ、くず粉を薄くまぶして使います。小麦粉をころもにすると水分を吸ってべたっとしてしまいます。

【れんこん】
原産は中国やインドとされ、日本に伝わり広まりました。独特の粘りとさくさく、ほくほくとしたおいものような食感は親しみやすく、今や日本料理には欠かせない野菜となりました。現代のイタリアやフランス料理でもこぞってアレンジレシピが考案され、その素直な味わいが人気の食材です。色止めに酢を使うときれいな色に仕上がります。太く肉厚のものを選びましょう。

【大根】
真冬の野菜です。今や一年中出回っていますが、やはり寒ければ寒いほど甘みが増し、きめが細かくなり、食感も絹のようにソフトになります。古くより薬草としても位置づけられていて、春の七草のすずしろにあたります。和食では皮をとても厚くむくことが多いようですが、私は基本的には皮をむかずに使います。

【白菜】
冬野菜の代表選手です。初期は栽培が難しく、明治、大正にかけて品種改良され現在の姿になりました。白より薄黄色の部分が多いと甘みが強いようです。目が詰まり重くふっくらと大きいものを選んでください。いろいろな味に染まってくれるいい人、のような野菜です。

【ほうれん草】
旬は冬ですが、いまや一年中ある野菜です。舌の奥を刺激するシュウ酸が含まれているので、ゆでたらたっぷりの水に取って冷まし、よく水気を絞って抜きます。甘みと風味が強く、何にでもよく合います。根元の茎が集合した部分は切り落としてしまいがちですが、おいしいので全部使いましょう。

旬の野菜をごろごろ入れて作る野菜グラタン

材料(5〜6人分)
 いろいろな野菜の切れ端……500g(下記「むく野菜」より取り合わせる)
 にんにく……1/2かけ
 ベーコン(短冊切り)……30g
 豆乳…… 野菜に対しひたひたの量
 グリュイエールチーズ*(小片)…… 大さじ山盛り2 
 パルミジャーノチーズ*(粉末)…… 大さじ山盛り2
 パン粉(粗いもの)……適量
 塩、白こしょう
 *2種のチーズはどちらか1種類でもよい。モッツァレッラチーズやカマンベールチーズでも。

●むく野菜
玉ねぎ、にんじん、大根、キャベツ、長ねぎ、かぶ、かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、なす、ズッキーニ、ピーマン、ほうれん草、小松菜、セロリなど

●むかない野菜
きゅうり

作り方
1 野菜をすべて2~3㎝角に切る。オーブンを200℃に予熱する。
2 グラタン皿ににんにくの切り口をすりつけ、野菜とベーコンを敷き詰める。豆乳をひたひたに注ぎ(野菜が水面から出ていてよい)、塩をふる。強火にかけ、沸騰し始めたら弱火にして5~6分煮る。完全に火が入るまで煮てもよい。
3 グリュイエールチーズとパルミジャーノチーズ、パン粉、白こしょうをふり、予熱したオーブンに入れる。温度を180℃にして表面に焼き色がつくまで約15分焼く。

野菜を豆乳で煮てからチーズをふって焼き上げるヘルシーでおいしい野菜グラタン。野菜の切れ端がたくさんあるときに作ると、いろいろな味や食感が楽しめそうですね。

 

真中陽宙(まなか あきお)/「アガペ カーザマナカ」「オステリア アガペ」オーナーシェフ。1967年埼玉県北本生まれ。「クイーン・アリス」にて料理の基礎を、「コートドール」でスタイルの異なるフランス料理を学んだ末、パスタ好きであることからイタリアンに転身。「リストランテ・ヒロ」にて山田宏巳氏からイタリアンの基礎や発想などを学ぶ。一時「リストランテ・ヒロ」でシェフを務めたのち、「リストランテ アガペ」のシェフになる。2008年クイーン・アリスグループより独立。2014年現在の店を東京・恵比寿にオープン。

撮影:白根正治