【コラム】分とく山・野崎洋光さんに教わる“料理上手になる食材のきほん”―かぼちゃ編

東京・南麻布「分とく山」総料理長の野崎洋光さんが、料理人として長年にわたり食材と向き合い、日本各地の農家を訪ねるなどして蓄積されてきた食材の知識を、集大成としてまとめた本『料理上手になる食材のきほん』から、ハロウィン本番の今日は「南瓜」のページをご紹介します。レシピは、大人好みに辛みをきかせ、ほっくりとした「南瓜の南蛮煮」です。

南瓜(かぼちゃ)のきほん

ウリ科。原産地は中南米で、古くからある野菜。現在出回るものには、「日本南瓜」「西洋南瓜」「ペポ南瓜」の3系統があります。現在の主流は西洋南瓜で、江戸時代末に渡来し、北海道開拓で栽培されました。「黒皮栗(くろかわくり)南瓜」のほか、皮色が赤、緑、白などもあります。
日本南瓜は表面に凹凸があり、淡泊で上品。料理店などで提供されるのが主です。ペポ南瓜は変わった形が多く、じつはズッキーニやそうめん南瓜もこの仲間。伝統野菜に、日本南瓜では京都「鹿ケ谷(ししがたに)南瓜」が、西洋南瓜では石川県の皮が赤い「打木赤皮(うつぎあかがわ)甘栗」があります。以下は、現在一般的に出回る西洋南瓜を中心に述べます。

【選び方】
皮にツヤがあり、見た目より重いものを。底が赤みがかった色ならば完熟。切ってある場合は、果肉が濃い黄色で、種がびっしり付いているものを。

【旬の時季】
切らなければ長期保存可能なので、一年中出回ります。国産ものの旬は5~9月。

【産地】
北海道、鹿児島県、茨城県など。

【栄養】
栄養価の高い緑黄色野菜で、炭水化物、β−カロテンやビタミンB群、ビタミンC、ミネラルも豊富。

【料理のコツ】
西洋南瓜は甘みも旨みも強く、でんぷん質が豊富でホクホクした味わい。皮が非常に固い一方で果肉が柔らかいので、煮るときは一口大に切った後、皮を部分的に残してむき、皮の味わいや歯ごたえを生かしながら火の通りをよくします。ほっくりした煮上がりにするため、皮側を下にして、重ならないように鍋に並べ、ひたひたの煮汁で強火で短時間で煮上げるのがポイント。そのために、煮汁にはたっぷりの酒を使い、煮汁が早く蒸発するようにします。
 砂糖と醤油で味付けした甘辛煮もおいしいですが、ベーコンや豚肉などの動物性たんぱく質を取り合わせると、白いご飯に合うメインの一品にもなります。煮もの以外には、ゆでてサラダに、生のまま天ぷらに。

南瓜の南蛮煮

材料(2人分)
 南瓜……200g
 煮汁
  水……1/4カップ
  酒…… 大さじ4強
  砂糖…… 大さじ1/2
  みりん…… 小さじ1
  淡口醤油……小さじ1/4
  豆板醤……小さじ1/2
 胡麻油……小さじ1/4

作り方
1 南瓜は2.5cm×4cmの大きさに切り揃え、面取りをする。
2 鍋に1を皮を下にして重ならないように並べ、煮汁の材料を加えて落とし蓋をかぶせる。中火にかけて煮立ったら火を少し弱め、汁気が少なくなるまで煮る。
3 煮汁が2割ほどになって、汁にとろみがついたら落とし蓋を取る。胡麻油を回しかけて、鍋をゆすりながら煮汁を南瓜にからめ、器に盛る。


煮汁が沸き立つ状態で煮ると酒が蒸発し、煮汁の量もちょうどよくなります。

早速おいしい南瓜を見分けて手に入れましょう。豆板醤のピリッとした辛さと胡麻油のコクが大人の口にあう南蛮煮も、ぜひ試してみてください。

 

野崎洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長。1953年、福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業、栄養士でもある。従来の考え方にとらわれない今の時代に合った料理哲学を、やわらかな語り口で分かりやすく説く、稀有な料理人。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。『和食のきほん、完全レシピ』(小社刊)、『日本料理 前菜と組肴』(柴田書店)など、著書も多数。

撮影:日置武晴