【コラム】知りたい!パンのおいしい食べどき、切り方、保存方法。

今日は「フランスパンの日」です。「ごはんが好き」という人も、今日はパンを買って帰りませんか。せっかく買ったパンですから、一番おいしい状態で食べたいものですが、焼きたてが一番おいしいとは限らないようです。そこで今日は東京製菓学校パン科の皆さんが監修した本『いちばんくわしい パン事典』から、いろいろなパンの“食べどき”と切り方、さらに保存方法について紹介します。

炊きたてのご飯がおいしいことを知っている日本人は、パンも焼きたてのあたたかいものがおいしいと思いがち。しかし、ヨーロッパ人には焼きたてほやほやのパンを食べる習慣はあまりありません。
 なぜなら、焼き上がったばかりのパンの中には余分な水分が残っているため、生地に粘り気があり、パンらしいふわふわとした食感を味わうことができないからです。じつは香りも発酵時のアルコール臭がわずかにします。まずは焼き上がったら20~30分ほどパンクーラーの上に置いて粗熱をとってから食べましょう。パンの中にこもった水分が焼き上がったパンの熱で蒸発し、生地にパン本来の弾力と軽さが生まれます。焼けた表面の芳しい香りも、パンが冷めると同時に生地の内側にじっくりとなじんで、豊かな風味へと仕上がります。
 もちろん、パンによっては例外もあり、材料の粉や酵母、具材によって食べ頃は異なります。パンそれぞれの特性を知っておいしいタイミングを逃さないようにしましょう。

フランスパン
粗熱がとれてから約3時間が食べ頃。8時間を過ぎるとパンの乾燥が早く始まり、翌日には堅くなってしまう。できるだけ当日に食べきるのがおすすめです。

天然酵母のパン
粗熱がとれてからの当日もおいしいが、もともと酸味を帯びているパンは乳酸菌や酢酸菌などの割合が高いため、焼いた翌日のほうが風味がなじんでおいしい場合があります。

ライ麦配合のパン
ライ麦の配合率が高いものは、翌日が食べ頃の目安。ライ麦配合のパンは日持ちがいいため、焼き上がりから2~4日は風味を損なうことなくおいしく食べることができます。

食パン
粗熱がとれる頃、クラムの状態も落ち着くため風味と食感ともに一番おいしいです。焼き上がりから2~3日はトーストすればおいしさは持続します。

菓子パン
粗熱がとれたらすぐに食べるのがおすすめ。デニッシュ系の甘いパンは生地のサクサク感が残る3時間以内に食べるのが目安。クリームなどは日持ちしないため、当日に食べきりましょう。

惣菜パン
焼きたて、揚げたてのものが一番おいしいです。パン生地よりもチーズなど、冷めると本来の味が損なわれる具材を使ったものは、あたたかいうちに食べるのがおすすめです。

パンの切り方

きちんと粗熱をとってクラムが落ち着いてから切るのが基本。焼きたてのパンにナイフを入れると、パンの生地がナイフに張りついて切りにくく、切り口がきれいにならないからです。またパンは切ってしまうと切り口から生地の劣化が始まり、風味が損なわれてしまうので、食べる直前に食べる分だけを切るようにするといいでしょう。

食パンの場合
食パンはオーブンの熱が一番当たらない両端の側面がやわらかいため、真上から切ろうとすると腰折れしてつぶれてしまいます。食パンを横に倒し、底側と側面の角から切り込み、力を抜いてナイフを引くように切ります。

<NG>パンをギュッとつかんだり、真上から押さえつけるようにナイフを入れると、パンはつぶれてしまいます。

バゲットの場合
バゲットやバタールなど、リーン系のパンはクラストが堅く、パンナイフが滑ってしまうことがあります。クープの切れ目部分に刃を当てて切れば、ナイフの刃がクープ部分に引っかかり、きれいに切ることができます。

<NG>引っかかりのない面にナイフを当てて切ろうとすると堅いクラストで刃が滑り、けがをする恐れもあります。

パンの保存方法

パンは空気に触れている間、どんどん劣化が進みます。購入したり、焼いたパンをその日のうちに食べきれないとわかっている場合は、冷凍保存をおすすめします。一度に食べる分量を小分けにし、空気に触れないようしっかりとラップでくるみます。次にラップでくるんだパンを密閉のきく保存袋に入れ、空気をしっかりと抜いてから冷凍庫で保存します。保存後は1週間を目安に食べきりましょう。
 解凍方法はパンによって異なり、ソフト系やライ麦配合のパンは常温で解凍するだけ。クロワッサンやハード系のパンは常温で戻したあと、表面に霧吹きをしてからオーブンで焼き戻すとパリッとした食感がよみがえります。

<OK>空気に触れる部分がないよう、きちんとラップで包みましょう。

<OK>保存袋内の空気はストローで吸い出すと簡単に密閉状態にすることができます。

<NG>少しでも空気が入った状態はパンに冷凍庫のニオイがうつり、風味を損ないます。

パン屋さんでどれを買おうか迷ったときは、買ったその日に食べるならフランスパン、翌日に食べるつもりならライ麦パン…など、いつ食べるかを想定すれば、買うべきパンが見えてくるかもしれません。もしも食べ切れなくても、正しく保存すれば、いつでもおいしいパンが食べられます。

 

監修、撮影協力:東京製菓学校パン科/1954年開校。和菓子、洋菓子、パンのプロを育てる専門学校。実践的なカリキュラムや最新の特殊設備の他、国内外でトップレベルの講師陣など、あらゆる面でサポートする。夜間部もある。パン科も実践を重視。実習授業が全体の80%を占め、ヨーロッパの伝統的なパンから調理パンまで、日本で売られているあらゆるパンの製造法が学べる。また、石窯での製パン技術や天然酵母の扱い方など、高度な製パン技術を習得できる。
http://www.tokyoseika.ac.jp/

撮影:西山 航/伏見早織