【コラム】コーヒーハンターに学ぶおいしいコーヒーの淹れ方、その2。ペーパードリップ特別講座

毎日自分で淹れるコーヒーの味に満足していますか? 今回は自宅でおいしいコーヒーを淹れるコツを、世界No.1のコーヒーハンター、川島良彰さんに教えていただきます。先週に引き続き、いよいよ抽出、淹れ方の実践です。
いちばんは、正確にはかること。
いつもおいしく淹れるために用意したいのが、正確な「はかり」と「温度計」、それに「ストップウォッチ」です。
ストップウォッチは、腕時計やスマートフォンの機能を使うと便利です。はからずに曖昧に淹れると、そのたびに味が変わり、おいしいコーヒーを安定して作るコツをつかめません。
私の店でも、つねにデジタル計測器を使用して、正確にはかりながら抽出しています。これらは家でいつもおいしいコーヒーを作るための「三種の神器」のようなものです。
豆の使用量は「重さ」ではかります
豆は体積ではなく、重さではかります。豆によって密度が異なるため、体積ではかると重さがブレてしまうからです。そうした理由でおなじみのメジャースプーンは使いません。
プレス式のように注ぐ湯量が決まっているときは、はかりの上で注ぐと、正確で見やすいです。
お湯は85~90℃
コーヒー抽出に適正なお湯の温度は85~90℃。温度が低すぎると抽出不足で香りが出にくく、酸味が出やすくなります。また、温度が高すぎると苦みが出やすくなります。抽出温度で味はかなり変わりますから、温度計を使う必要があります。
「時間」もはかります
抽出時間をはかるときは、粉に湯が接触したところでストップウォッチをスタート。プレス式で淹れる場合は、この抽出時間は味に直結する重要なファクターになります。またハンドドリップでの最初の粉の蒸らし時間も、ストップウォッチではかります。
粉とお湯が長く接触しているほど、おいしさが濃くなるのならよいのですが、ある時点を過ぎると、今度は出てほしくない味が出てくるため、抽出時間を守ることが大切になります。最もおいしい味が出た瞬間を教えてもらうために、ストップウォッチは不可欠です。
ペーパードリップ特別講座
ペーパードリップに限らず、ドリップ式はコーヒーの粉を湯に浸しつつ、同時にろ過をするのが特徴です。お湯を注ぎながらコーヒーの味を作るため、お湯の注ぎ方次第で味の出方が変わりますし、逆に言えば、注ぎ方次第で自分の味作りができる面白さがあります。安定しておいしく淹れるには、数値化できるものは、きちんと計量、計測することです。
ペーパーフィルターの質は、意外なほど風味に影響します。ドリッパーに合った純正品を使ってください。
【使用量の目安】
コーヒー20g…抽出量150ml
コーヒー36g…抽出量300ml
コーヒー48g…抽出量450ml
※挽き目…中粗挽き
※抽出の湯温…85~90℃
【1】
分量の豆を挽き、微粉をふるい落とす。
お湯を用意する。
ドリッパー、サーバー、カップを温める。
ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、コーヒーの粉を入れ、ドリッパーを軽く叩いて平らにならす。
ストップウォッチと、あとでドリッパーを仮置きするコップを脇に用意する。
【2】
お湯を中央から外側に「の」の字を書くようにくるくると注いで、全体を湿らせる。
お湯を注ぎ始めると同時にストップウォッチもスタート。
【3】
コーヒーがサーバーに落ちてきたら、お湯を注ぐのをやめ、そのまま蒸らす。粉がふっくら大きく膨らんでくる。
ストップウォッチが20~30秒になったら(粉の膨らみが落ち着いたら)【4】へ。
【4】
再び中央にゆっくりと「の」の字を書くようにお湯を注ぐ。
「の」の字の大きさは淹れる分量にもよるが、縁には湯を落とさないようにし、最後まで周囲のコーヒーの土手を崩さない。
始めは湯面が少しずつ上がる速さで注ぎ、適度に上がったところで注ぐ速さを抑えて湯面の高さを維持する。
【5】
サーバーに抽出したい量のコーヒーがたまったら、ドリッパーにお湯が残っていてもドリッパーをはずす。
抽出し始めてからここまで、300ml抽出の場合で1分30~35秒が目安。
【6】
最後にサーバーのコーヒーをひと混ぜして、味を均一にして、カップに注ぐ。
もっと深くコーヒーの世界を極めたいという方にお勧めなのは、川島良彰さんの著書『Coffee Hunting Note 100カップログ』。より自分好みのおいしいコーヒーに出会うために、飲んだコーヒーを記録できる手帳タイプの本です。ここでご紹介したような、おいしいコーヒーに出会うために知っておきたい「コーヒーの基本」ガイドも充実しています。
イラスト:横山暢男、オザワミカ
撮影:伏見早織
Coffee Hunting Note 100カップログ

誰もが自分好みの本当においしいコーヒーに出会えるようにと、 世界No.1のコーヒーハンター川島良彰が考案した「100カップログ(100杯分のテイスティングノート」と、 おいしいコーヒーに出会うために知っておきたい「コーヒーの基本」ガイドが合…