【コラム】“和えるおかず”をおいしく作る、4つのコツ

料理家・坂田阿希子さんの著書『和えるおかず』を読むと、私たちは毎日のように、何かしら“和えるおかず”を食べている、ということにあらためて気づかされます。
「和える料理というと白和えや胡麻和えなど、和食で出てくる副菜のイメージがありますが、私にとって、和えることはもっと自由な「おかず」のための料理法」と話す坂田さん。坂田さんがすすめる“和えるおかず”の魅力とは? そこで『和えるおかず』から、おいしく作るコツと、「牛肉、大根、しいたけの韓国風」をご紹介します。

“和えるおかず”をおいしく作る、4つのコツ

1.手で和える
どんな料理にも言えることですが、手にまさる道具はありません。和えるおかずもぜひ、手を使って仕上げてみてください。
 全体の温度やしんなり具合を手で感じ取ることで、ひとつひとつの食材にきちんと味が入ったか、全体に味がなじんだか、などがわかり、おいしい和えものになった、ちょうどいいタイミングを知ることができます。
 あつあつのじゃがいもや半熟卵など、この限りではないものもありますが、最後の仕上げはできるだけ手で。混ぜやすいように、大きめのボウルで和えることもポイントです。


2.食材に合わせて切り方を工夫する
おいしさの要は食材の組み合わせ方ですが、それと同じくらい大事なのが、食材をどういう形で和えるかということ。入れるものをすべて同じくらいの大きさにそろえて切ることでおいしくなる場合もあるし、あえて不ぞろいにすることで食感の差が楽しめることもあります。
 ほかにも、ズッキーニなどはリボン状に削いで和えるとソースがよくからまって全体のまとめ役になる、ほうれん草は根元から裂いておくと柔らかい口あたりになる、など、それぞれ切り方のちょっとしたコツがあります。


3.オイルを上手に使う
私の和えるおかずはオイルが味の大事な決め手になります。ぜひ良質なものを選んでください。
 私が主に使っているのは、オリーブオイルとごま油。オリーブオイルはエキストラバージンオリーブオイルの中でもえぐみや苦みの少ないものを選びます。
 ごま油は、焙煎の違いでいくつか種類がありますが、ごまの風味を生かしたいときは、コクがありながら色みの淡い、浅めの焙煎の金ごま油を。野菜などの香りを際立たせたい場合は、生のごまを搾った上品な風味の太白ごま油を、と使い分けています。


4.うまみ食材を活用する
和える調理で上手に使いたいのが、おかかや梅干しなど、それ自体にうまみのある食材。1種類の野菜と和えるだけでシンプルなおかずになり、肉や魚と一緒に使えばその風味と相まって、味わいに奥行きのある一品になります。
 『和えるおかず』ではおかかと梅干しのほか、アンチョビやドライトマト、塩麹、しらすを使ったメニューを紹介しています。それ以外にも、塩昆布などもうまみ食材の仲間。和えるおかずの味が手軽に決まるうまみ食材を、ぜひいろいろ試してみてください。


和えるおかず「牛肉、大根、しいたけの韓国風」


“和えるおかず”をおいしく作る4つのコツがわかったところで、こちらの本から温かい和えおかず「牛肉、大根、しいたけの韓国風」を一例としてご紹介しましょう。
 食材は大きさを揃えて切ることで、互いになじみやすくなります。食材それぞれの食感を生かしたおかずは、野菜に塩をふって余分な水分を抜き、1種類ずつ炒めてから合わせることが、おいしく仕上げる秘訣です。

材料(2人分)
牛もも肉…150g
下味用
 酒…小さじ1 
 しょうゆ…小さじ1
 ごま油…小さじ1
きゅうり…1本
生しいたけ…3個
大根…6cm
にんじん…1/2本
さやいんげん…8本
卵…2個
塩…適量
【A】にんにく(すりおろし)…1/2かけ分
   米酢…大さじ2
   砂糖…大さじ2
   塩…小さじ1
   酒…小さじ1
   しょうゆ…小さじ1
ごま油…適量
煎りごま…大さじ1

作り方
1.牛もも肉は繊維に沿って細切りにし、ボウルに入れる。下味用の調味料を順に加えて、軽くもみ込む。

2.きゅうりは縦に半分に切って斜め薄切り、生しいたけは石づきを切り落とし、薄切りにする。大根とにんじんは皮をむいて拍子木切りにする。大根、きゅうり、にんじんはそれぞれ塩少々を加えて軽くもみ、水気が出たら軽く絞る。

3.フライパンにごま油少々を熱して、にんじんを炒める。しんなりしたら軽く塩をふって大きめのボウルに入れる。ごま油少々を足しながら大根ときゅうり、しいたけもそれぞれ別にさっと炒め、それぞれ塩少々をふる。順に、にんじんと同じボウルに加えていく。

4.フライパンにごま油小さじ2を足して1の牛肉を炒める。色が変わったら取り出し、3のボウルに入れる。

5.鍋に湯を沸かし、塩少々を入れ、さやいんげんをさっとゆでる。ざるに上げて水気をきり、縦半分に切ってから4~5cm長さの斜め切りにする。

6.卵をよくほぐして塩小さじ1/3を加えて混ぜる。ごま油を薄くひいたフライパンを中火で熱し、卵液を少量ずつ薄く回し入れて、薄焼き卵を焼く。1枚ごとに油をひき直しながら同じようにして数枚焼く。重ねて細切りにして、錦糸卵を作る。

7.【A】を合わせ、4のボウルに加え、5のさやいんげんと6の錦糸卵を加えて混ぜる。煎りごまを加えてさらに和える。

4つのコツを踏まえていろいろな食材を和えることで、おいしさが無限に広がりそうですね。“和えるおかず”のレシピをもっと知りたいかたは、坂田さんの著書『和えるおかず』をぜひご覧ください。

 

坂田阿希子(さかた あきこ)/料理家。フランス料理店やフランス菓子店で料理人としての経験を重ね、独立。料理教室「studio SPOON」を主宰するかたわら、書籍や雑誌、TV出演などで活躍。和洋のジャンルにとらわれることなく、新しいおいしさを常に追求する。食材の食感や香りを大切にした、ひとひねりあるレシピにファン多数。新潟県出身で、大の白いごはん好きでもある。著書に『絶品マリネ』(家の光協会)、『坂田阿希子の肉料理 肉好きに捧げる極上レシピ』(文化出版局)など。

撮影:新居明子