【コラム】今さら聞けないイタリアンの基本。プリモピアットとは? 基本的なメニュー構成をおさらいする 

日本人にとって、イタリア料理はもはや日常食。お店でオーダーするのも朝飯前…と思っていたのに、いざメニューを見ると、どのようにオーダーしたらいいのか迷ってしまうことはありませんか? プリモピアットって何? アンティパストとコントルノは何が違うの? そこでイタリアを拠点に旅と料理のジャーナリストとして活躍中の池田愛美さんと池田匡克さんの著書『完全版 イタリア料理手帖』から、基本的なイタリア料理のメニュー構成をおさらいします。

イタリア料理のメニューには、ほかのヨーロッパの国にはない、パスタを中心とする“プリモピアット”という項目が存在する。ゆえに、フランス料理では前菜とメインという二皿構成が基本だが、イタリア料理では、前菜、プリモ、セコンドという三皿構成が基本となる。
 しかし、必ずしも三皿食べなければならないということではなく、前菜とプリモ、プリモとセコンド、前菜とセコンドといった二皿でも構わない。ただし、プリモを二つといった頼み方は通常しない。
 また、昔は一皿を二人あるいは複数人でシェアするという発想はなかったが、都市部の店ではシェアに応じるのは一般的になりつつある。
 コース料理となると、前菜の前にアミューズブーシュが供されたり、前菜、プリモ、セコンドも2~3種類ずつ、それぞれ少量で供されるのが一般的。なお、コース料理では基本的にシェアはしない。

前菜―Antipasto

前菜。パスタやスープの前に軽く食べて食欲を促す役割を持つ。ポーションは軽いことが多いが、店によっては前菜にもかなりのボリュームを持たせるところもある。
 なお、前菜の料理とセコンドの料理は線引きが曖昧なものも多く、前菜としてメニューに載っている料理が、別の店ではセコンドに(あるいはコントルノに)載っているという場合も見受けられる。
 アンティパストはレストランでのコース・メニューでパスタの前に食べる前菜と位置づけられており、古代ローマ時代にはすでに存在した。「アンティ」は「前」を表す接頭辞で「パスト」は「食事」を意味し、最近日本のレストランでは省略して単に「アンティ」と呼ばれることも多い。
 パスタと並んで地域性、季節感に富み、魚介から、野菜、肉、豆、冷たいものから温かいものまでさまざま。最も代表的なのがアッフェッターティと呼ばれる、生ハムとサラミ類の盛り合わせで、これは地方ごとに種類が異なる。



プリモピアット―Primo Piatto

前菜の後、セコンドの前に食べる料理。パスタ、スープ、リゾットなど、おもに炭水化物系が中心。略してプリモと呼ぶこともある。お腹いっぱい食べることが美徳であった昔に比べ、昨今は量を控えめにする店も多い。また、ハーフポーションで提供する店もある。
 現代イタリアにおいてパスタの形状は約400種類あるといわれている。長い年月をかけて各地方ごとにいわゆる定番パスタ料理が誕生してきたが、パスタの形状とソース、素材を組み合わせればパスタ料理の数はそれこそ無限に存在するといえるだろう。
 パスタはイタリア料理の花形であり、文化、歴史、民族、風土、あらゆる面でビオダイヴァーシティ=生物多様性がイタリアという国を表現するキーワードであるならば、パスタの多様性こそがイタリア料理たるゆえんである。


セコンドピアット―Secondo Piatto

プリモの後に供される、肉料理、魚料理などメインとなる料理。略してセコンドと呼ぶこともある。メインの料理(イタリア語ではpietanza ピエタンツァ)とも意訳されることが多い。内陸部では肉、海岸地方では魚を使ったメイン料理が伝統的だが、都市部では、魚のセコンドピアットを常時提供する店も少なくない。最近は、ヘルシー志向を受けて野菜料理もセコンドに加えるところが増えている。


付け合わせ―Contorno

コントルノとは、セコンドピアットと同時に食べる付け合わせのこと。多くは、セコンドピアットとは別の皿で供され、焼く、茹でる、揚げる、煮る、マリネ等シンプルに調理された野菜料理であることが多い。
 また、メニューであらかじめセコンドピアットとセットで表示されているコントルノは、たとえば、オッソブーコとジャガイモのピュレといったように同じ一つの皿に盛りつけられることもある。
 コントルノとしてメニューに載っている料理を前菜として注文することも可能である。


ドルチェ―Dolce

デザート。コーヒーや紅茶など食後の飲み物は、ドルチェを食べた後に注文するのが普通。対して、デザートワインはドルチェと一緒に供される。
 イタリア語で「菓子」はドルチェと総称する。レストランで食後に供されるものはドルチェもしくはデセール(デザート)と呼び、菓子店(パスティッチェリア)で売られている菓子はドルチェと呼ぶのが一般的。
 料理と同じく、ドルチェにも郷土色が強く表れ、また、宗教儀式や季節行事に結びついたドルチェも数多ある。さらに、ティラミスのような特定の店が作り出して後に全国的に広まったドルチェもある。
 いずれにしても、素朴でシンプルな姿形のものが多いのがイタリアのドルチェの特徴である。



基本的なメニューの構成や、料理の特徴がわかれば、日本にある本格的なレストランはもちろん、本場のレストランでも臆することなくオーダーすることができますね。もっとイタリア料理を知りたくなったかたは、ぜひこちらの本もチェックしてみてください。


 

文・写真:池田愛美、池田匡克(いけだ まなみ、いけだ まさかつ)/出版社に雑誌編集者として勤務後、1998年イタリアに渡る。旅と料理のビジュアル・ノンフィクションの分野でインタビュー、取材、撮影、執筆活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書は『シチリア美食の王国へ』(東京書籍)、『イタリアの老舗料理店』(角川書店)、『サルデーニャ!』(講談社)、『フィレンツェ美食散歩』『ローマ美食散歩』『アマルフィ&カプリ島』(以上、ダイヤモンド・ビッグ社)、『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』(河出書房新社)、『Dolce! イタリアの地方菓子』『極旨パスタ』『最新版 ウィーンの優雅なカフェ&お菓子』(以上、世界文化社)など。
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