【コラム】グラスが変わるだけでおいしさが全然違う! ワインのタイプ別 最適な味わいを引き出すグラスの法則

ワインをおいしく飲めるかどうかは、実はそのワインの良さを味わえるグラスを使うかどうかが、重要なポイントです。ではどのようなグラスで飲むと、おいしく味わうことができるのでしょうか? 基本から料理とのマリアージュまで、ワインの楽しみ方がわかる本『プロ直伝!家飲みワイン おいしさの新法則』から、ワインのタイプ別に、用意するべきグラスをご紹介します。

白ワイン

赤ワインに比べて渋み(タンニン)を含まない白ワインからは、ぶどうの甘み(果実味)、酸味がストレートに伝わってきます。
そのためこの甘み、酸味、各々の味わいを美味しく感じられるグラスを選ぶことがとても重要です。

さっぱり辛口の白ワイン

[ぶどう品種]
ソーヴィニヨン・ブラン/リースリング/シャルドネ(シャブリなどの辛口)タイプ

清涼感あふれるキレのある酸味が持ち味の爽やかな辛口白ワインには、すぼまりのある、ボウル部分が縦長の中ぶりな形状のグラスが最適です。

ボウル形状とグラスのすぼまりによって、ワインは細い流れで舌先に導かれます。
 顔はやや上向きの状態(=舌先上がり)ですので、舌先で一旦留まったワインは、舌の中央付近を直線的に流れやすくなっています。これにより、豊かな酸味が爽やかさをもたらしつつ、果実味の印象もきちんと残してくれるので、バランスの崩れた「ただただ酸っぱいワイン」という印象にはなりません。
 手の甲をイメージするなら、中指の爪先にワインがのり、そのまま細い筋となり、手首(=のど)へと向かって一直線に流れるイメージです。

味わいだけではなく、グラスはワインの温度にも影響をもたらします。このタイプのワインは、基本的に冷やして飲むのがおすすめ。舌の上は温かいので、舌上でワインが広がりやすいグラスで飲むと、せっかく冷やしたワインが舌の温度によって温まってしまい、爽快感が失われてしまいます。
 舌の真ん中を直線的に流れる形状のグラスなら、ワインが温まりにくく、最適な温度で味わえます。

こってり、まろやかな白ワイン

[ぶどう品種]
シャルドネ(樽熟成)タイプ

柔らかな酸味とボリューム感が持ち味のコクのある白ワインには、すぼまりがゆるく、口広の、ボウル部分がバランスよく丸い、大ぶりな形状のグラスが最適です。

この形状のグラスは、グラスをそれほど傾けずにワインを飲むことができます。
 ワインを飲むときの顔の向きが水平からやや下向き加減となるので、口に含まれたワインは、舌先を飛び越え、舌全体にゆっくりと広がります。
 手をイメージするなら、指の部分(舌の前半部分)では、ワインを感じることはありません。ちょうど手の甲の部分にワインが広がっていくイメージです。ワインの広がりとともに、トロピカルフルーツのような厚みのある果実味と柔らかな酸味が、口内を豊かに満たしてくれるでしょう。
 レストランで白ワインをオーダーした際、このタイプの白ワインをこの形状のグラスでサーブされたなら、かなりグラスにこだわりのある店だと言えるかもしれません。

赤ワイン

赤ワインは、白ワインに比べて味わいや香りが複雑です。
赤ワインの複雑で芳醇な香りをときほぐしつつ、渋みを柔らかく感じさせてくれるのが、赤ワイン専用のグラスです。

豊かな酸味の赤ワイン

[ぶどう品種]
ピノ・ノワール/ネッビオーロタイプ

豊かな酸味、繊細で複雑な香りと味わいのミディアムボディタイプの赤ワインには、すぼまりが強く、ボウル部分のお尻がふくらんだ大ぶりな形状のグラスが最適です。

このグラスに、写真のようにワインを適量注いだとしましょう。容量がとても大きくグラス全体のすぼまりが強いので、もしこのグラスを机の上に水平に寝かせたとしても、ワインはギリギリこぼれ出ないでしょう。
 飲み手の顔が下向き~水平という状態ではどうでしょうか? おそらくグラスの縁が鼻につかえてしまうため、ワインを口に含むことができなくなってしまうはず。
 ですから、このグラスでワインを飲む場合には、おのずと飲み手の顔はやや上向き、舌は舌先上がりの状態になるのが自然です。ワインはまず舌先に導かれ、そこで一旦留まったのち、滑り台を滑り落ちるように、舌の中央付近を直線的に流れていきます。
 この流れ方により、酸味を含む爽やかな果実味の余韻がしっかりと舌先に残ります。その後、ワインの流れたあとに酸味や渋みが心地よく浮かんでくるので、酸味が強調されすぎず、ワイン全体の印象がとてもバランスよくまとまって感じられるのです。

渋みのしっかりした赤ワイン

[ぶどう品種]
カベルネ・ソーヴィニヨン/メルロータイプ

濃厚な果実味を持ち、酸味は穏やかながら、渋みが強い、フルボディタイプの赤ワインには、すぼまりのゆるやかな、ボウル部分が縦長の大ぶりな形状のグラスが最適です。

大ぶりなボウル形状ですが、飲み口は大きく、グラス全体のすぼまりは強くありません。そのため、ワインを飲むときの顔の向きは水平~やや下向きの状態となります。
 顔をあまり後方に傾けずに飲めるため、ワインは、舌先を飛び越えた舌の中央付近に導かれ、そこに一旦留まったのち、ゆったりとした流れで横方向に広がりながら、のどの奥へと消えてゆきます。このワインの流れが、舌の中央付近に濃厚な果実味の残像をしっかりと残し、もともとワインが持っている強い渋みをやわらげるように包み込むのです。
 ワインの流れ去ったあとには心地よい渋みも浮かび、ワイン固有の味わいのハーモニーが口中でしっとりと続きます。

シャンパーニュには、泡だけでなく香りも楽しめるグラスがおすすめ

シャンパーニュはどんなぶどう品種から造られている?
シャンパーニュは、専用の特殊なぶどう品種ではなく、通常のワイン(スティルワイン)にも使われているぶどう品種から造られます。
 主な品種はピノ・ノワールとシャルドネです。
 発泡性かどうかは別として、同じぶどうから造られるワインですから、当然、シャンパーニュが持っている香りや味わいのポテンシャルはスティルワイン同様と考えるのが自然です。

あわせて、ご承知のとおり、シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方で独自の製法により造られたものだけを指します。
 そのほかのスパークリングワインには、フランスではヴァン・ムスー、クレマンなど、イタリアではスプマンテ、フランチャコルタなど、ドイツではゼクト、スペインではカヴァなどと呼ばれるものがあります。

シャンパーニュおよびスパークリングワイン

[ぶどう品種]
ピノ・ノワール/ シャルドネ

香り豊かなシャンパーニュ、スパークリングワインには、泡を楽しみやすい「フルート型」タイプよりも、白ワイングラスのような、ボウルに少しふくらみのある進化型シャンパーニュグラスが最適です。

薄い飲み口と絶妙なすぼまりの形状によって、シャンパーニュを口に含んだ瞬間、きめ細かい泡の刺激をソフトに感じさせてくれます。
 その後、酸味やミネラル感が舌の後半部分に浮かび上がり、上質なシャンパーニュの全体像を結んでゆきます。

「焼きたてのブリオッシュの香り」?
このグラスのボウルのふくらみと口のすぼまりにより、シャンパーニュ独特の香りが格段に再現されやすくなります。ボウルのふくらみ部分に“香りの部屋”ができるからです。果実系の香りはもちろん、「焼きたてのブリオッシュの香り」と表現されることの多い、瓶内二次発酵(※)と熟成によるシャンパーニュ独特のキャラクターが際立つのも、この形状のグラスならではです。

※瓶内二次発酵:ワインを瓶詰する際、酵母と糖分を添加すると、瓶の中でさらに発酵が起こりアルコールと炭酸ガスが発生します。その炭酸ガスが瓶内に封じ込められワインに溶け込み、特有の泡成分になる過程を瓶内二次発酵と呼びます。

グラスが違うだけで、同じワインでも印象が変わります。グラスの選び方を参考にして、一番おいしい状態でワインを楽しみましょう。ご紹介した本『プロ直伝!家飲みワイン おいしさの新法則』には、ご家庭でおいしくワインを飲むためのヒントが満載なので、こちらもぜひチェックしてください。

 

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白水 健/「リーデル」グラスエデュケイター。
撮影:白水 健