【コラム】燻製マスターに教わる、燻製の作り方の基本~自家製燻製のすすめ

酒好きにはたまらないつまみのひとつ、燻製。自分で手軽に燻製を作ってみたいと思いませんか? そこで本日は、自家製燻製の楽しさ・おいしさを綴ったブログが大人気の燻製道士さんに、燻製作りの基本を教えていただきましょう。後半では初心者にお勧めの「味付けたまごの燻製」の作り方もご紹介しています。
燻製作りの基本はこの3つ
燻製の基本的な作り方は、
1.味付け(塩漬け)
2.乾燥(風乾・温乾)
3.燻煙
の3つの行程からなっている。
この3つの行程さえ覚えておけば初心者でも失敗することなく簡単でおいしい燻製を作ることができる。
では具体的な内容を紹介しよう。
味付け(塩漬け)
もともと燻製は保存食品で、腐敗を防ぐために煙で燻すのだが、その前に塩漬けをするのは、食材の余分な水分を抜き、殺菌・保存効果を高めるのが目的だ。
塩漬けには、ふり塩をする方法とソミュール液に漬ける方法の2通りがある。
●ふり塩
食材に直接、塩をまぶしたり、すりこんだりする方法。身崩れしにくい肉類に適している。
●ソミュール液
ソミュール液と呼ばれる塩水に食材をつける方法。塩だけでなく、こしょうなどのスパイス、ハーブ類などを煮立てて作る。食材の臭みをとる作用もあり、身崩れしやすい魚などに使われる。
乾燥(風乾・温乾)
味付け後の食材を、文字通り「風にあてて乾かす」行程。食材を乾燥させることで水分を抜き、保存性を高めることができる。自然乾燥を風乾、スモーカーの中で煙をたかずに熱を加えることを温乾という。
食材表面の水分を充分に乾かしておかないと、次のステップである「燻煙」を行ったとき、熱が加わることにより食材が身崩れを起こしたり、塩と水分が煙に反応して酸っぱい味の燻製になってしまうので注意が必要だ。
とくに、水分の多い食材、たとえば帆立の貝柱などはしっかり風乾しないとうまくいかない場合がある。逆にプロセスチーズやナッツ、かまぼこなど食材表面がほとんど乾いているものであれば、ごく短時間の風乾で、もしくはこの行程を省略して燻煙することができる。
また、水分がスモーカーのなかで大量に発生すると、蓋の内側についた煙のタールが水分とともに食材に落ちることがある。すると、せっかくの食材が苦くなり、美味しい燻製からはほど遠いものになってしまうので注意が必要だ。スモーカーに蓋をするときにキッチンペーパーやふきんをはさんでタールが食材に落ちないようにしよう。
ちなみに風乾させるときには、食材を傷めないように直射日光は避け、陰干しするのが基本。湿気の少ない時季に天候をみて行うのがよい。せっかくの食材がカラスや動物の被害に遭わないよう、干しカゴに入れるなどの工夫を。
燻煙
風乾の終わった食材に、スモークチップやスモークウッドを使って煙をかける行程。
簡単燻製の場合、中華鍋やフライパンなどでも可能だ。また、ダンボール燻製器やスモーカーなどを使う場合もある。
燻煙の方法は、設定温度によって、冷燻、温燻、熱燻の3つに分けられる。
初心者にお勧めなのが、魚の干物やソーセージ、市販のラーメン用煮卵などの、塩漬けが終わっているもの。これなら煙をかけるだけでいいので失敗が少なく、手作り燻製が楽しめる。
それでは初心者にお勧めの自家製燻製の定番おつまみ、「味付けたまごの燻製」をご紹介します。
「味付けたまごの燻製」を作ってみよう
市販の味付けたまごを使えばあっという間にでき、しかも失敗がないので、我が家では定番のおつまみ。スモークのいい香りに、適度な塩気で黄身が甘く感じられ、シングルモルトがすすむ、すすむ…。
【材料】
味付けたまご…3~4個
リンゴのチップ…ひと握り
【作り方】
1.味付けたまごをキッチンペーパーの上で1時間風乾する。
2.スモーカーの底にアルミホイルを敷き、リンゴのチップをひと握り入れる。網をセットしたらたまごを並べて蓋をし、カセットコンロに点火。最初は強火で煙が出はじめたら中火にし、10分熱燻してできあがり。
●ココがキモ
ゆでたまごから味付けたまごを作る時は、水3カップに塩40g、砂糖30gを加えて煮るとよい。たまごは燻すと水分が出るので、タールを含んだ水蒸気がたまごの上に滴らないよう、スモーカーの蓋にキッチンペーパーを張るなどしっかり対策を講じよう。
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