【コラム】日本茶インストラクターに教わる おいしいお茶の淹れ方―煎茶&抹茶編―

お茶は、日本人にとって身近な存在です。でも、ちゃんとおいしく淹れられますか? 子どもの頃に教えられた「お茶の淹れ方」を、更新せずに今も続けているという大人も多いのでは? 折しも3月は「利休忌」の月。そこで本日は、全国のおいしい日本茶のガイドブック『厳選日本茶手帖』から、普段飲む機会の多い煎茶と抹茶のおいしい淹れ方の基本を、日本茶インストラクターのブレケル・オスカルさんに教えていただきます。
煎茶をおいしく淹れる
煎茶は70℃くらいのややぬるめのお湯で淹れることがポイント。熱湯だと渋みや苦みが強くなってしまうからだ。お湯は必ず一度沸騰させてから、冷ますこと。器を1回替えるごとに湯温は10℃下がるので、何度か器を移し替えて適温に近づけよう。
1煎目を注ぎ切ったら必ず蓋を取って横に置くこと。蓋をしたままだと茶葉が蒸れて2煎目に渋みや苦みが出てしまう。
2煎目はお湯を急須に注ぎ、数秒待ってから湯のみに注ぐ。その際は1煎目より高めの温度のお湯で淹れよう。
●必要な道具
煎茶に適切な茶器のセット例。250mlの急須に100mlの煎茶碗、茶托、湯冷ましを用意。湯冷ましはあると便利。
●分量と温度の目安
湯温…70~80℃
時間…60~90秒
分量の目安…茶葉2gに対して湯量60ml(1人分)
1.急須に茶葉を入れる。ティースプーン山盛り1杯(約2g)=1人分を目安に人数分入れる。
2.湯冷ましに沸騰したお湯を入れ、さらに人数分の茶碗に注ぎ分ける。
3.茶碗のお湯が適度に冷めたら急須に移し、蓋をして60秒ほど待つ。
4.左、中、右、右、中、左…の要領で最後の一滴まで少しずつ順番に注ぎ、お湯の量と濃さを均等にする。
抹茶をおいしく点てる
茶道を習ったことがないから抹茶は無理…と思いがちだが、そんなことはない。茶筅と茶碗があれば抹茶は点てられる。家で飲むのなら、作法も必要なし。
まずは茶筅を用意しよう。1000円前後から購入できるので、手に入れておくと便利だ。
抹茶茶碗はカフェオレボウルなどの深めの器でも代用できる。
はじめに抹茶を茶こしでこしておく。そして、少量のお湯を入れてペースト状にしておくと、ダマになりにくい。あとは茶筅でシャカシャカ泡立てる。難しく考えずに、気軽に抹茶を楽しもう。
●必要な道具
抹茶に必要な道具は抹茶茶碗と茶筅。茶さじはなければスプーンでもOK。茶こしや湯冷ましもできれば用意しよう。
●分量と温度の目安
湯温…80℃
分量の目安…抹茶2gに対して湯量60ml(1人分)
1.抹茶を茶こしでこす。きめが細かくなり、点てやすくなる。
2.茶碗に1人分の抹茶を入れる。茶さじなら2杯程度。
3.少量の水を抹茶茶碗に入れる。
4.ダマにならないように茶筅を使って少量のお湯で抹茶の粉を溶き、ペースト状にする。
5.80℃に冷ましたお湯を抹茶茶碗に入れる。
6.肘を伸ばし、「M」の字を描くように茶筅を動かして泡立てる。
茶葉や使う道具の特徴は、何度か淹れるうちにわかってきます。自分なりのコツをつかめばしめたもの。きっとおいしさをもっと追求したくなるでしょう。そしてお茶の時間が、もっと楽しみになりますよ。
撮影:久保田彩子
知ればもっとおいしい!食通の常識 厳選日本茶手帖

全国の日本茶名産地ごとに味わいを紹介する美味ガイド。独自の栽培・製茶法によって、目からウロコが落ちるほどおいしいお茶を作っている生産者が日本各地にいます。この本で紹介するおいしいお茶に出合って、急須で淹れる本当のお茶のおいしさを見つけてみま…