【コラム】イギリスのイースターの楽しみ方とは? ホットクロスバンズの伝統的なレシピを習う

日本でもよく耳にするようになってきた「イースター」。春を告げる「復活祭」を、どのように楽しめばよいのでしょうか? イギリスの料理やお菓子の研究を続けている砂古玉緒さんに、イギリスでのイースターの楽しみ方と、イースター直前の金曜日「グッドフライデー」に食べる、定番の「ホットクロスバンズ」の作り方を教えていただきます。

イギリスでは大切なお祝い。イースターのティータイム

クリスマスと並んで大切な祝日のイースター。卵の殻でオーナメントを作って柳の枝につるして部屋を飾ったり、水仙の黄色い花を束にして活けたり、イースターカードを書いたり。
 そのなかでもいちばん大切なのは、イースターエッグをハントすることと、ホットクロスバンズとシムネルケーキを食べること。イースターのお茶の時間が待っています。

春をはこぶイースターは、おいしくて楽しいものがたくさん!
 イースターが近づくと、家もお店も街までも、卵のモチーフと黄色にあふれます。長い冬の終わりと、待ち望んだ春の到来を告げてくれるのです。
 子どもたちは、近所や教会などで行われるエッグハントが楽しみ。
 「今日は学校でエッグハントした!」と娘が小さなエッグチョコレートをたくさん持って帰ってきて大喜び。これは中学、高校のときのお話です。
 小さなうちだけでなく大きくなっても、学校の芝生に先生が隠したチョコレートエッグを夢中で探します。いつだってエッグハントは大盛り上がり。イースターの楽しい行事です。

また、この時期には、どこへ行ってもランチやティータイムにホットクロスバンズやシムネルケーキが出されます。十字架を模したホットクロスバンズと黄色い卵の形をしたマジパンがのるシムネルケーキが主役となる季節です。


イースターのシンボルは復活の意味を持つ卵、そしてうさぎ。さらにこの時期咲く春を告げる水仙もモチーフとされます。華やかな黄色の世界が広がるイースター。気持ちも明るくなります。


これは、木製の卵のオーナメント。イースターの時期には家の中にも卵をあちこちに飾ります。

ホットクロスバンズを作る


イースター(復活祭)の前の金曜日は「グッドフライデー」と言い、イエス・キリストが十字架に架けられたとされる日。これはその日に食べるブレッドです。
 甘く、スパイシーで、リッチな味。アイシングやざらめの糖をかけたタイプなどがありますが、ここでは、伝統的なレシピにしています。今では、スーパーで一年じゅう売られており、イギリスの人に愛されています。

【材料(4個分)】
【A】
牛乳…90ml
グラニュー糖…小さじ1/2
―――
インスタントドライイースト…小さじ1と1/2
―――
【B】
強力粉…175g
塩…小さじ1/2
黒糖(粉末)…30g
ミックススパイス…小さじ1/2(*)
ナツメグパウダー…小さじ1/4
シナモンパウダー…小さじ1/4
―――
バター(冷蔵庫で冷やしておく)…25g
卵…20g(溶いたものを計量)
―――
【C】
レーズン…30g
オレンジピール(カットタイプ)…10g
カランツ…5g
―――
サラダ油…少量
―――
【クロス用アイシング】
薄力粉…大さじ3
グラニュー糖…20g
水…大さじ1
―――
【グレイズ(飾り用シュガー)】
グラニュー糖…大さじ1
牛乳…大さじ1
―――
打ち粉(強力粉)…適量

【特に用意する道具】
絞り出し袋

【準備】
・オーブンは190℃に予熱する。
・天板にクッキングシートを敷く。

【作り方】
1.【A】を合わせて湯せんにかけ、35~40℃に温める。インスタントドライイーストを加えてひと混ぜし、10分おく。
2.【B】を合わせ、大きなボウルにふるい入れる。バターをサイコロ状に切って加え、カードでバターが細かくなるまで切り混ぜる。
3.1のドライイーストが膨らんできたら、2に加える。溶き卵を加え、木べらで混ぜる。【C】を加えて、手でよく混ぜる。
4.打ち粉をしながら、ボウルの中で生地を約10分、しっかりとこねる。生地につやが出て、のびが出てきたら、ひとまとめにする。
5.別のボウルにサラダ油を塗り、4を入れてラップをし、35~40℃のところで1時間発酵させる(一次発酵)。生地が1.5倍の大きさになったら一次発酵終了。
6.台に打ち粉をして5の生地を取り出し、生地を手で軽く押してガス抜きをする。生地をカードで4等分にカットする。
7.カットした生地の表面を外から内側へ包み込むようにしてきれいに丸め、生地の端をつまんでまとめる。
8.7の生地のつまんだところを下にして、間隔をあけて天板にのせる。ふんわりとラップをして、35~40℃の場所で30~40分発酵させる(二次発酵)。
9.ボウルに【クロス用アイシング】の材料をすべて入れ、スプーンで混ぜ、絞り出し袋に入れる。
10.8の生地が1.5倍の大きさになったら二次発酵終了。ラップをはずし、生地に9のアイシングで十文字を描く。

11.予熱したオーブンに入れ、温度を180℃に下げて10~13分焼く。【グレイズ用の材料】を混ぜ合わせ、湯せんでグラニュー糖を溶かし、粗熱を取る。
12.ブレッドが焼き上がったら取り出し、熱いうちに刷毛でパンの表面にグレイズを薄く塗る。

*ミックススパイスの配合
イギリスのお菓子と料理には「ミックススパイス」がよく使われますが、イギリス製のミックススパイスは日本で市販されていないので、以下を参考にして作ってください。日本で売っているカレーやシチュー用の「ミックススパイス」とは別物です。

コリアンダーパウダー50%
シナモンパウダー30%
ナツメグパウダー10%
ジンジャーパウダー5%
クローブパウダー5%


 

砂古玉緒(さこ たまお)/広島県生まれ。約10年のイギリス在住時に、イギリス料理とイギリス菓子の取材、研究、製作を行う。2004年に教室をスタートし、日本とイギリスで人気を博す。現在、テレビ、雑誌、書籍、イベント、全国のカルチャースクール講師などで活躍中。2014年NHK連続テレビ小説『マッサン』で、スコットランド料理・菓子製作指導を担当。著書に『お茶の時間のイギリス菓子 伝統の味、地方の味』(世界文化社刊)ほかがある。
http://www.britishpudding.com/

撮影:石川奈都子