【コラム】毎日の料理作りが楽しくなる! いまの時代にふさわしい献立を考えるための3つの基本ステップ

「今日は何を食べようかな」と考える毎日の食事。でも毎回食べたいものが思い浮かぶとは限りません。栄養のバランスは大丈夫か? など、時には考えることすら億劫になることも。そこで今日は、東京・南麻布の人気の日本料理店「分とく山」総料理長・野崎洋光さんに、いまの時代にふさわしい献立の立て方、その3つのステップを、季節ごとの献立例を挙げてわかりやすく教えていただきます。

「献立を立てるのは難しい」「献立が立てられない」そんな声をよく聞きます。また現実的に「仕事から帰って、きちんと献立をととのえるのは大変」「時間が足りない!」という悩みも多くあるようです。

献立にはそれぞれに立て方の意図があります。ここでは、そのいちばん根本にある考え方をお教えしましょう。気軽に、そして毎日の食卓が無理なく続けられますように。

毎日の料理作りに困っているみなさまへ

毎日きちんと、レシピ通りに料理を作らなくてはいけない、と思っていませんか?  

料理は楽しんで作るものですし、楽しいから続くのです。献立全部を作るのが大変なら、1品は作りおきできる料理を入れましょう。材料がなければ、冷蔵庫にあるもので代用しても大丈夫。魚の三枚おろしも、鮮魚売り場でお願いできる時代です。作りおきできる料理や常備菜を活用していただけたら、ぐっと気楽に食事がととのえられるでしょう。

献立の立て方

STEP1.
主食のご飯を決めると、汁ものが決まる

まずはじめに、白いご飯(または雑穀ご飯)にするか、味のついたご飯――炊き込みご飯や丼もの、おすしなど――にするかを決めましょう。

汁ものは、白いご飯なら味噌汁、味のついたご飯なら吸いものにするのが基本です。汁の具は、全体のバランスによって、具だくさんにしてもシンプルにしてもかまいません。

STEP2.
主菜(おかず)を決める

白いご飯なら、メインのおかずに魚または肉を据えて、動物性たんぱく質を補います。旬の魚介が安かったから、今日はお肉の気分……ということでよいでしょう。そんなに難しく考えなくても大丈夫です。

味のついたご飯のときは、具を炊き込んだりのせたりと、主菜的な存在になることが多いので、玉子焼きなど魚や肉以外の動物性たんぱく質を組み合わせたり、あさり入りのおからなど、副菜的な料理を組み合わせてもかまいません。

STEP3.
副菜を決める

副菜には、野菜や豆、大豆製品をメインに使った料理を据えるのが基本です。栄養的にご飯は炭水化物、主菜は動物性たんぱく質、汁ものは海藻や大豆、野菜、動物性たんぱく質などさまざま。献立全体の栄養バランスをとるためにも、副菜に使う食材で他の料理にはないビタミンやミネラル、食物繊維などをとるようにします。

春夏秋冬の献立で、立て方の確認

春の基本の献立例
・ふきとしらすの炊き込みご飯
・はまぐりの潮汁
・鯛の木の芽焼き
・豚肉の沢煮

STEP1.
主食は、春らしい“苦み”を持つふきを生かした炊き込みご飯。ご飯にもしらすにも塩味がついているので、汁ものは吸いものに。水ぬるむ頃においしくなる旬のはまぐりを潮汁にして、おいしさを堪能します。

STEP2.
主食が炊き込みご飯の場合、具によっては、それ自体が主菜(メイン)になることもありますが、ここではふきとしらすなので、主菜にするには少し弱い。そこで、白いご飯のときと同じように魚を主菜に。桜鯛と呼ばれる春の鯛を、炊き込みご飯とも合うよう、強い味つけではなく、シンプルに焼きます。

STEP3.
細切りにしたたっぷりの根菜に、豚肉でコクを補った沢煮。うどを仕上げに加えてさっと加熱して、春らしい苦みを生かします。通常は汁ものにするこの料理ですが、煮浸し風にして、作りおきできるようにしています。

夏の基本の献立例
・冷しゃぶ麺
・あさりおから
・きゅうりの酢のもの

STEP1.
夏は、口の中にとどまる時間が短い口離れのよい料理が好まれるので、そうめんはぴったりの主食。しゃぶしゃぶにした豚肉をのせて、一緒に動物性たんぱく質もとります。

ここでは、体にいい練りごまと豆乳を合わせたたれをつけていただきます。たれが汁代わりのようなものですから、汁ものは添えません。

STEP2.
この料理では、豚肉をたっぷりとのせた主食のそうめんがおかずを兼ねているので、魚や肉などのメインのおかずはとくに組み合わせていません。

STEP3.
主菜を省いたぶん、副菜を2品にしてバランスをとります。

冷しゃぶ麺では野菜や食物繊維が不足するので、あさりおからのおからで植物性たんぱく質と食物繊維を、あさりで亜鉛などのミネラルをとり、根菜もたっぷり入っているので栄養ばつぐん。体の熱をとるというきゅうりを、口の中がさっぱりする酢のものでいただきます。

秋の基本の献立例
・ご飯
・南京汁
・さんま塩焼き
・牛しぐれ煮

STEP1.
新米の時季ですから、ここでは何といっても主食は白いご飯。この献立の主役でもあります。白いご飯には、味噌汁がつきもの。献立全体を見て、野菜がないので、味噌汁の具には根菜をたっぷり使って、具だくさんにします。

STEP2.
新米と出合いものの秋を代表する魚・さんまを塩焼きに。ふっくら焼き上がったさんまのシンプルな旨みと内臓の苦みが、甘みの豊かな白いご飯とよく合って、食がすすみます。

STEP3.
この献立では、白いご飯が主役ですから、ご飯がすすむことを主眼に副菜を組み合わせます。ここでは、作りおきできる佃煮感覚の牛しぐれ煮を。お弁当にも向くので、食べ盛りのお子さんがいるかたにもぴったりです。

冬の基本の献立例
・ご飯
・いわしのつみれとろみ汁
・鶏ねぎ焼き
・かぶと油揚げの煮浸し

STEP1.
この献立では、体の芯から温まる汁ものを作るのに少し手をかけたいので、主食は白いご飯に。汁は味噌汁ではありませんが、つみれに混ぜた味噌の風味がじわりと汁に移るので、ほぼ味噌汁と同じと考えます。

STEP2.
ときには、白いご飯のおかずに肉料理を。これは簡単なのにパリパリに焼けて、おいしい焼き鶏ですが、それだけでは酒の肴にはなってもご飯はあまりすすみません。そこで、味噌だれを塗ってわけぎをのせて仕上げ、ご飯にも合うように仕立てています。

STEP3.
濃厚な肉料理を食べたときの味の強弱をつけるため、副菜はたっぷりの野菜と油揚げで上品に炊き上げた“淡味”の料理を。味のメリハリが出て、口の中もさっぱりし、食べすすめられます。



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野崎洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長。1953年、福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業した、栄養士でもある。従来の考え方にとらわれない料理哲学と調理方法を、やわらかな語り口で、わかりやすく説く料理人として人気。時代に即した考え方やレシピで、テレビや雑誌でも活躍。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。

撮影:小林キユウ