【たまごのはなし】第2回 「平飼いたまご」って何?

おいしくて、楽しくて、ワクワクすることを考えるのは幸せな時間ですよね。食文化研究家のスギアカツキさんとのそんな話から始まったこの連載。「たまごが一番大好きな食材」というスギさんが、食文化研究家ならではのさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げます。どうぞワクワクしながらお楽しみください。

食文化研究家のスギアカツキです。

みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は、「たまご」という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。

そこで、連載名を「たまごのはなし」と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います。





みなさん、「おいしいたまご」を選ぶために意識していることは何ですか? 言わずもがな、“鮮度”は最優先でしょうが、とにかく“赤卵”にこだわる人や、DHAやビタミンEなどの“栄養強化型タイプ”を選ぶ人も増えているようです。


先日ニュージーランドのスーパーを取材した際に、たまごについて色々質問したのですが、国全体として重視しているのが、「フリーレンジ(free range)」というポイントなんだそうです。これは、日本では“平飼い”と呼ばれる飼育法です。





【平飼い(≒フリーレンジ)】
鶏舎内または屋外において、鶏が床面または地面を自由に運動できるようにした飼育法。120日齢以降、1平方メートル当たり5羽以下であることが基準。


【バタリーケージ】
ワイヤーでできたケージを連ねて幾段にも重ね、その中に鶏を収容する近代式の集約飼育方式のこと。1羽当たり幅20cmほどの狭いケージの中に雌だけが閉じ込められ、動き回ることや羽を伸ばすこともできない状態でたまごを産ませ続ける。


ニュージーランドでは前出の「フリーレンジ」が、“健やかなたまご”としての指標になりつつあるようで、これは世界的にも同じような動向がうかがえます。動物愛護、動物福祉の観点から、アメリカやEUなどの大手スーパー・ファストフード店においても、バタリーケージを廃止する流れになってきているのです。


それでは日本はというと……
その流れとは対極の状況で、9割以上が「バタリーケージ」。もちろん与える飼料も完全にコントロールされ、生卵でも食べられるよう衛生管理されたたまごが、リーズナブルな価格で販売されています。

つまり、日本で売られている大半のたまごは、「食べる人にとって都合のよい(安い・見た目がきれい・栄養が強化された)、生卵でも食べられる清潔なたまご」ということになるでしょう。もちろんバタリーケージで産まれたたまごが、味覚的に落ちるということはないでしょう。大事なのは、こういうたまごをどのように捉え、どのような気持ちで食べるのか?ということ。正解は人それぞれかもしれません。


もちろん日本においても、平飼いたまごをスーパーで購入することができます。平飼いを実践している養鶏場では、品質・味を良くするために与える飼料を厳選したり、自然な形に近づけるよう有精卵にするなど、様々なこだわりをホームページなどで公開しています。



平飼いの生卵


「平飼い」であることは、“健やかでおいしいたまご”を選ぶ上で大事なポイントであることは間違いないでしょう。さあ、みなさんはどう考えますか?

 

【たまごのはなし】は、ほぼ隔週火曜日に掲載します。


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第1回 「たまごがおいしい」って、どういうこと? おいしいゆでたまごを作る3つの作戦

 

文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。
Twitter:@akatsukinohana