【コラム】日本酒ってどうやって作るの? できたてのお酒から食事に前掛けまで、酒蔵見学の楽しみ方

食欲の秋、おいしいつまみと一緒においしいお酒が飲みたくなる季節です。ところで日本酒って、どのように作られているのか、ご存知ですか? 気になったら酒蔵見学に出かけてみましょう。見学だけでなく食事やお土産選びが楽しめる酒蔵もあります。本日は、酒食ジャーナリスト・山本洋子さんの著書『ゼロから分かる! 図解 日本酒入門』から、酒蔵見学の楽しみ方をご紹介します。

酒造りの現場に行ってみよう 酒蔵見学へGO!

酒蔵ってどんなとこ? どんな風にお米が酒に変わっていくの? 杜氏ってどんな人? 百聞は一見にしかず。酒造りの現場で見聞きすれば、日本酒の奥深さを肌で感じることができます。北から南まで酒蔵は1500ほどありますが、造り方はどこも、その蔵独自のスタイル。故に「酒屋萬流(さかやばんりゅう)」という言葉があるほどです。建物は、歴史ある土蔵造りから、ステンレスの壁に囲まれた空調設備完備の近代的な蔵まで千差万別なのです。どの蔵も、一歩入れば空気が変わることが実感できます。蔵内の寒さに驚き、麹室の温かさに驚くかもしれません。タイミングが合えば、もろみタンクから酵母が発酵するプチプチ音が聞けることも。

設備や道具も蔵ごとに異なります。米の蒸し器は木製あり、金属製あり。もろみを搾る機械はアコーディオンのような横型から縦型の槽まで。比べる蔵が増えるほど、違いがよく分かり、さらに面白くなるでしょう。杜氏や蔵人から直接話が聞けることが何よりの魅力ですが、酒造りの時、何に気をつけているのか、環境や風土の影響や水源・水質、原料米のことなど、ぜひ尋ねてみてください。日常とかけ離れた空間の中で、日本酒の並行複発酵の謎などが、より一層身近に感じることができるでしょう。

また、ほとんどの蔵でお酒の仕込み水を飲むことができます。運がよければ搾りたてのお酒が楽しめたり、地域の限定酒に出会えることも。おすすめは食事処やカフェが併設されている蔵。お酒がゆっくりと楽しめ、おすすめ料理とのマッチングを味わうこともできます。蔵によっては、酒や酒粕の他、奈良漬け、前掛け、酒器などを販売しているところもあります。


さて、酒蔵見学の前に注意することがいくつか。まず、納豆は絶対に食べないこと! 納豆菌は生命力が強く、酒の味に悪影響を及ぼすからです。納豆は混ぜただけで納豆菌があちこちに飛散することが分かっています。蔵によっては、ヨーグルトや柑橘類もダメなところも。見学する蔵のルールに従いましょう。

酒造りはわざわざ寒い時期に行うものです。蔵の温度はかなり低く、急な階段や水場があります。動きやすく、暖かい格好で出かけましょう。上履きに履き替えることも多いので、脱ぎ履きしやすい靴も肝心。清潔な服装であることはもちろんのこと、化粧や香水は控えます。

そして必ず、訪問前に予約すること。普段、蔵見学に対応している蔵でも、急な事情で対応できないこともあるからです。訪問前に問い合わせ、遅刻は厳禁です。

また、見学不可の蔵でも、「酒蔵開放」といって年に一度、受け入れる日がある場合があります。気になる酒蔵があれば、問い合わせてみましょう。

酒蔵で味わいたいご当地自慢の酒!

観光スポットとして、外国人観光客や若い女性など多くの人で賑わう蔵から、食事やおみやげが充実した蔵まで、ご当地酒を楽しめる蔵はいろいろ。


山梨銘醸/山梨県

「七賢」の醸造元である山梨銘醸では、醸造期の11~5月のみ、酒造りの工程にそって蔵を案内してくれる。
直営レストラン「臺眠(だいみん)」では、地元・白州が育んだ米、野菜、果物を活かした献立が楽しめ、鮭の麹漬け、わさびの醤油漬け、甘酒、煎り酒、米麹など、お酒以外の食品も充実。
毎年3月に9日間におよび開催される酒蔵開放が大人気! 
スパークリング日本酒が注目のまと。




神戸酒心館/兵庫県

日本酒生産量が全国一の兵庫県。
中でも圧倒的な生産量を誇るのが、灘五郷と呼ばれる神戸・西宮の沿岸部。
その灘五郷のひとつ、御影郷で「福寿」を醸す神戸酒心館は、蔵見学とテイスティングが充実。
敷地内には山田錦の田んぼがあり、酒とそばが楽しめる食事処に酒カフェ、落語やジャズ会を行うホールも。
灘の自然と酒の歴史、食と文化背景が、手造りの灘酒とともに楽しめる。



 

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山本洋子(やまもと ようこ)/酒食ジャーナリスト 地域食ブランドアドバイザー。鳥取県境港市・ゲゲゲの妖怪の町生まれ。素食やマクロビオティック・玄米雑穀・野菜・伝統発酵調味料・米の酒をテーマにした雑誌編集長を経て、地方に埋もれた「日本のお宝! 応援」をライフワークにする。「日本の米の価値を最大化するのは上質な純米酒」+穀物、野菜・魚・発酵食、身土不二、一物全体を心がける食と飲生活を提案。地域食ブランドアドバイザー、純米酒&酒肴セミナー講師、酒食ジャーナリストとして全国で活動中。境港FISH大使。著書『純米酒BOOK』(グラフ社)、『厳選日本酒手帖』『厳選紅茶手帖』(世界文化社)。モットーは「1日1合純米酒! 田んぼの未来を燗がえる!」。
http://www.yohkoyama.com

イラストレーション:水谷慶大

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