【コラム】分とく山・野崎洋光さんに教わる“料理上手になる食材のきほん”―なす編

東京・南麻布「分とく山」総料理長の野崎洋光さんが、料理人として長年にわたり食材と向き合い、日本各地の農家を訪ねるなどして蓄積されてきた食材の知識を、集大成としてまとめた本『料理上手になる食材のきほん』から、立秋の今日は、この時季に食べたい「茄子(なす)」をご紹介します。レシピ例は、果肉の美しい翡翠色を生かした「翡翠(ひすい)茄子の黄身酢かけ」です。

茄子のきほん

ナス科。インド原産で、日本へは中国経由で8世紀の初めに渡来。古くから栽培されている、日本の代表的な野菜です。「一富士、二鷹、三なすび」として縁起ものにされるのは“(事を)なす”の意味から。

各地に特有の品種が多く、球形、卵形、太く長い形、細長い形、小さい形と多数。最も多く流通するのは中長形の「千両茄子」で、広い用途に向きます。旨みがあるのは大型タイプで、小茄子は漬けもの向き。ヘタが緑色の米茄子は、近年入った西洋茄子の一種。最近では皮が緑色の「青茄子」や、紫色の色素を持たない「白茄子」、紫と白の縞模様の「ゼブラ茄子」など多彩です。

郷土色のあるものとしては、宮城県の「仙台長茄子」、新潟県の「十全(じゅうぜん)茄子」、京都府の「賀茂茄子」など。大阪府の泉州(岸和田地方)には、皮が薄く、絞ると汁気がしたたるほど水分豊富で生食できる「水茄子」があります。

【選び方】
皮に張りと光沢があり、ヘタの切り口が新しくて、痛いくらいのとげがあるものを。

【旬の時季】
ハウス栽培が多く、一年中出回ります。

【産地】
ほぼ全国。一般的な千両茄子は高知県、熊本県、群馬県のほか、消費地近くの都市近郊。

【栄養】
水分が主体。茄子の紺色はナスニンというポリフェノールの一種。抗酸化作用があります。

【料理のコツ】
千両茄子は皮がしっかりしているので日持ちはしますが、鮮度がいいほど皮の下の緑色が濃く、料理に色が生かせます。ご紹介するレシピ「翡翠茄子」は油で揚げ、皮をむくことで美しい翡翠色が現れます。淡泊な茄子に、コクがつく油との相性は抜群です。

翡翠茄子の黄身酢かけ


材料(2人分)
 茄子……3個
 揚げ油……適量
 黄身酢
  卵黄……1個
  酢……小さじ1
  砂糖……小さじ1
  淡口醤油……小さじ1/2

作り方
1.翡翠茄子を作る。茄子のがくを切り落とし、縦半分に切る。180℃に熱した揚げ油に茄子の切り口を上にして入れ、途中で返しながら揚げる。全体が柔らかくなったら氷水にとって皮をむき、水気を絞って脱水シートにはさみ、1時間おいて水気を抜く。
2.小ボウルに黄身酢の材料を入れ、混ぜながら湯せんにかける。とろみがついたら湯からおろして冷まし、こす。
3.1を食べやすく切って器に盛り、2をかける。



<関連記事>
・【コラム】分とく山・野崎洋光さんに教わる“料理上手になる食材のきほん”―かぼちゃ編

野崎洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長。1953年、福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業、栄養士でもある。従来の考え方にとらわれない今の時代に合った料理哲学を、やわらかな語り口で分かりやすく説く、稀有な料理人。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。『和食のきほん、完全レシピ』(小社刊)、『日本料理 前菜と組肴』(柴田書店)など、著書も多数。

撮影:日置武晴

Delicious Navi