【コラム】温度を下げるな。もっと知りたいジェラートの魅力・その2

8月27日の「ジェラートの日」をはさんで、4日間に渡り、ジェラートの魅力についてご紹介しましたが、本日はその最終日。ジェラートとそのほかの氷菓との違いや、イタリアでの最近のジェラート事情などについて、イタリアを拠点に幅広く取材・執筆・撮影を手がける池田愛美さんと池田匡克さんの著書『Dolce! イタリアの地方菓子』からご紹介します。

ジェラートの温度、種類

ジェラートという言葉はそもそも、単独で発生したものではない。まず、アラブ由来のソルベットがあり、さらに“空気を混ぜ込んだもの”が、ソルベット・ジェラートと呼ばれ、やがてジェラートだけになったのである。因みに、ジェラート・アルティジャナーレでは、含まれている空気は全体量の20~30%、インダストゥリアーレは最高70%までである。

ジェラートの温度だが、通常販売しているものはマイナス13~15度、一般の冷凍食品はマイナス18度くらいだから、さほど差はない。しかし、糖分のお陰で、硬くならず、我々は冷たさをさほど感じない。ところがこれを、家庭の冷凍庫に保存すると硬くなってしまう。食べて美味しい温度(マイナス13~15度)に適した分量の砂糖しか入っていないため、それより少し温度が下がるだけでジェラートは変質してしまうのである。

最後に、ジェラートとそのほかの氷菓の違いを。牛乳やクリームをベースとし、砂糖を加えて、空気を混ぜ込みながら冷やしたものを一般的にジェラートと呼ぶが、乳製品を使わずフルーツや煎じたもの(お茶、コーヒーなど)、野菜、アルコールを用いたものはソルベットと呼ばれる。乳製品を使わないのになめらかな食感になるのは、砂糖のおかげで硬くなりすぎないからだ。



一度に数種類、フルーツ系、クリーム系、チョコレート系を取り混ぜて贅沢に


一方、ジェラートやソルベットよりもやや高い温度で、固体というよりは液体に近く、さらりとした氷の粒が感じられるのがグラニータ。特にシチリアの名物で、アーモンドやコーヒー、レモン風味が主流だが、スイカやブラックベリー、サボテンの実などバリエーションは多い。



ジェラートよりもみずみずしく、氷の細かな粒の感触が楽しめるグラニータは夏の人気者


また、セミフレッドは、ジェラートのように空気を混ぜ込むのではなく、イタリアンメレンゲ(熱いシロップを加えながら泡立てたメレンゲ)とホイップクリームを混ぜ合わせたものをベースとし、冷やし固めたもの。ジェラートとほぼ同じ温度なのに比較的冷たさを感じないため、セミフレッド(やや冷たい)と呼ばれるのである。



仕事の合間や息抜きに、ふらりと立ち寄るのがジェラテリア。フィレンツェの「ペルケ・ノ!」にて。



変質を避けるため、また衛生の面からもジェラートは蓋付き容器で販売するほうがよいとされる。今ほど保冷が万全でなかった時代のものだが、最近見直すジェラテリアが増えている。



その月のおすすめが一目でわかるのがフィレンツェ「カラピーナ」の果物カレンダー。



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文:池田愛美(いけだ まなみ)・写真:池田匡克(いけだ まさかつ)/出版社勤務を経て98年に渡伊、雑誌を中心にイタリアの食、旅、職人仕事などを取材執筆。共著に『アマルフィ&カプリ島 とっておきの散歩道』『フィレンツェ美食散歩』(ダイヤモンド社)、『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』(河出書房新社)、『サルデーニャ!』(講談社)などがある。フィレンツェ在住。