【コラム】ウィーンの朝食の楽しみ方とおすすめのカフェ

日本でもおいしい朝食にこだわる人が増えていますが、海外での朝食事情も気になります。そこで本日は、イタリアを拠点にヨーロッパに関する取材・執筆・撮影を手がけている池田愛美さんと池田匡克さんの著書『最新版 ウィーンの優雅なカフェ&お菓子 ヨーロッパ伝統菓子の源流』から、ウィーンの朝食の楽しみ方と、おすすめのカフェをご紹介します。

ウィーンに滞在するのであれば、朝食(フリューシュトゥック)はぜひカフェでとりたい。朝7時頃から営業しているカフェには必ず朝食メニューがある。ベーシックなセットからハムや卵料理のつくフルセットまで種類もいろいろ。もちろん、アラカルトで自由に組み合わせることもできる。気分や、時間の余裕に合わせて朝食を楽しめるのがカフェの利点である。

ベーシックな組み合わせは、コーヒーか紅茶、センメルと呼ばれる丸いパン、キップフェルという名のクロワッサン、それにバターとジャムがつくというもの。パンの代わりにペストリーを、また、フレッシュなオレンジジュース、コーヒーや紅茶の代わりにホットチョコレートを選ぶことも可能だ。

さらにたっぷり食べたい人には、ソーセージやベーコン、オムレツやスクランブルエッグ、目玉焼きやゆで卵もつけられる。それらがみなセットメニューになっていれば料金も定額、しかも、意外と安いのである。ホテルで高い朝食をとるくらいなら、カフェへ出かけるほうがよっぽど楽しく、そして美味しい朝食に出会えるのだ。

***

シェーンブルン宮殿近くのカフェ ドンマイヤーは、1787年に遡る由緒あるカフェハウス。カジノも併設した広大なスペースで、ヨハン・シュトラウス2世がデビュー演奏を行ったことでも知られている。

今は当時よりも規模は縮小したが、裏にはバラ咲きこぼれる庭もあり、季節のよい時はそのテラス席も気持ちが良い。店内は決して華美ではなく落ち着いた雰囲気。お客も地元の裕福な年配の人が多く、きちんとした身なりで背筋を伸ばしてお茶を飲んでいる姿は実にヨーロッパ的である。

ここの朝食はエレガントなプレゼンテーションで目にも楽しい。ことに、フリューシュトゥック・デラックスは、三段重ねのケーキスタンドにスモークサーモン、ハム、チーズ、スクランブルエッグが恭しく盛られ、朝から華やいだ気分にしてくれる。そしてこれが、17.90ユーロ(2016年3月現在)と破格の値段。この雰囲気と美味しい朝食を思えば、実にお得なのである。

***

カフェ・ドンマイヤーは、13区の閑静な住宅街に佇む上品なカフェ。お客のほとんどは地元の顔なじみで、写真のビーグル犬もご主人様と一緒に毎日通ってくるという。朝食のセット、フリューシュトゥック・デラックスのスクランブルエッグとスモークサーモンは殊に美味しい。

Point

カフェ ドンマイヤー
Dommayergasse 1 1130 Wien
Tel.(01)877 54 65-0
7:00~22:00 無休

ウィーンを訪れたら、ぜひ朝食はカフェでとりたいですね。来週は、クロワッサンのルーツに迫ります。



<関連記事>
●【コラム】カフェとはなにか? その歴史と今
●【コラム】今さら聞けないイタリアンの基本。プリモピアットとは? 基本的なメニュー構成をおさらいする
 

文:池田愛美(いけだ まなみ)・写真:池田匡克(いけだ まさかつ)/雑誌編集者として出版社勤務後、1998年よりフィレンツェ在住。イタリアをはじめヨーロッパに関する雑誌、書籍の執筆、撮影を手がける。著書に『サルデーニャ!』(講談社)、『フィレンツェ美食散歩』『ローマ美食散歩』『アマルフィ&カプリ島 とっておきの散歩道』(ダイヤモンド社)、『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』(河出書房新社)、『Dolce!イタリアの地方菓子』『極旨パスタ』(世界文化社)など。イタリアの料理、旅、書籍などを紹介するwebジャーナル「サポリタ SAPORITA」(http://saporitaweb.com)を主宰。