【コラム】今、知りたい! おいしい柿の種類とその特徴

青果店やスーパーの店頭を、鮮やかな柿色が飾る季節になりました。一口に「柿」と言っても、色々な種類があります。種無し、種あり、熟し加減など、好みに合った柿を選んで、一番おいしいタイミングで食べたいものです。そこでおいしさのためには日夜いかなる努力も惜しまない、日本のフルーツの生産者と市場の職人さんたちから聞き集めた耳より情報満載の本『知ればもっとおいしい! 食通の常識 厳選フルーツ手帖』から、柿の種類や選び方について、紐解いてみましょう。


奈良時代から栽培されていたと考えられているかき。渋がきの渋みの原因である「タンニン」は、アルコールや炭酸ガスで処理することで不溶性になり渋みが抜ける。このタンニンにはアルコールを分解する作用があり、酸化還元作用のあるビタミンCや利尿作用のあるカリウムとの相乗効果により、二日酔い解消に効果的。ビタミンCやAの働きで美肌効果や風邪予防、老化防止にも役立つとされる。9~12月にかけて多く出回る、秋の果実である。

富有柿 ~最も多く栽培されている甘柿の代表品種

歴史は古く栽培は1857年からとされている。1898年に富有と命名された。完全甘柿の代表であり、晩生品種である。果実は丸に近い四角形をしており、果皮は橙から赤みがかかった橙まで産地によって色に違いがある。また滑らかで光沢がある果皮で、日持ちが良いのも特徴。甘さが強く果汁が多い。果肉がやや粗めだが熟してくるととろけるような食感になる。地域での適応にすぐれているので、多くの地域で栽培されている。柿はへたで呼吸をしているので、濡れたティッシュなどをへたに当て、へたを下にして保存すると良い。

甘柿? 渋柿?
柿には受粉に関係なく渋が抜ける「完全甘柿」と受粉して種ができると渋が抜ける「不完全甘柿」があり、渋が抜けると種のまわりにゴマと呼ばれる黒褐色の斑点ができる。また果肉の一部あるいは大部分が渋い「不完全渋柿」と種ができるできないに関係なく渋が抜けずゴマもできない「不完全渋柿」がある。


出荷時期:奈良10月~12月/福岡10月~12月/岐阜10月~12月
大きさ:300g前後
登録品種名:「富有」
岐阜県瑞穂市居倉原産の甘柿

平核無 ~種がない不思議な柿

種がない品種で明治42年に現在の名前がつけられたとされる。地方により「八珍柿(新潟)」「おけさ柿(新潟佐渡)」「庄内柿(山形)」「紀ノ川柿(和歌山)」などの名がつけられ栽培されている。不完全甘柿のため渋を抜いてから出荷される。果肉は柔らかく緻密で果汁が多く甘さも十分楽しめる。渋抜きした柿のことを「合わせ柿」「さわし柿」ともいう。



出荷時期:和歌山10月~12月/山形10月~12月/新潟10月~12月
大きさ:200g~250g
登録品種名:「平核無」
新潟県秋葉区原産の品種

刀根早生 ~平核無よりも早く収穫できる品種

奈良県で発見され1980年に名称登録された柿で、「平核無」より10日から15日ほど早く実をつける。「刀根早生」は「平核無」の枝変わりなので、特徴がとても良く似ている。果実が「平核無」よりもやや大きく、色は濃い橙色である。果汁が多く果肉は柔軟だが程よい硬さが心地よい。生食はもちろんだが干し柿としても楽しむことができる。



出荷時期:和歌山9月~10月/奈良9月~10月/新潟9月~10月
大きさ:250g前後
登録品種名:「刀根早生」
平核無の枝変わり

甲州百目 ~形と大きさが目を引く柿

各地で栽培されてきたので「蜂屋柿」「江戸柿」「代白柿」「富士柿」など呼び名がある「甲州百目」。釣り鐘のような形と、大きなものは500gにもなるのが特徴。果皮は赤みが濃い橙色で、黒い点ができやすい。干し柿や水分を50%前後残して仕上げるあんぽ柿にするほか、渋を抜いてから熟させて果肉をゼリー状にして食べる楽しみ方もある。



出荷時期:福島10月~11月/宮城10月~11月/山梨10月~11月
大きさ:300g~500g
登録品種名:「甲州百目」
古くから日本各地で栽培されていた品種

松本早生富有 ~富有の早生品種

京都府綾部市の松本豊氏の農園で発見。松本氏が育成したことから「松本早生富有」と1952年に名称登録された。富有よりも熟期が1~2週間ほど早いことが特徴。外観や食味などは富有とよく似ている。適地が広く関東から九州まで産地が広がっている。



出荷時期:奈良10月~11月/福岡10月~11月/岐阜10月~11月
大きさ:250g前後
登録品種名:「松本早生富有」
富有の枝変わり

太秋 ~これまでの柿とは違う食感が楽しめる

農研機構が育成し1994年に品種登録された完全甘柿。種が少なく、入っていても2~3個ほど。渋抜けが早いので果皮が青くても食べることができ、シャキシャキとしたこれまでの柿にはない食感が楽しめる。特有の食感と甘さの強さから人気が高まっている品種である。果皮に黒い条紋(横筋)が入っているものは糖度が高いと言われている。



出荷時期:熊本10月~11月/福岡10月~11月
大きさ:350g~400g
登録品種名:「太秋」
交配:「富有」×「IIiG-16」

市田柿 ~歴史ある完全渋柿

栽培の歴史は500年以上ともいわれる「市田柿」。これを干し柿にしたものも「市田柿」と呼ばれ、南信州を代表する特産品となっている。果実が小さいので、干し柿にしても一口大で食べやすい。また果肉がきめ細やかで上品な甘さで高級和菓子としても人気が高い。「市田柿」は商標登録されており、長野県飯田市、下伊那郡で生産、加工されたものだけが「市田柿」の名前を使用できる。



出荷時期:長野11月
大きさ:100g~120g
登録品種名:「市田柿」
長野県下伊那郡高森町の市田地区で栽培されてきた在来の渋柿


今回ご紹介した『知ればもっとおいしい!食通の常識 厳選フルーツ手帖』には、ほかにもりんご、いちごやぶどうなど、おいしいフルーツを食べるために知っておきたい情報が満載です。



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