【コラム】毎日山盛りで食卓に! イギリスの家庭料理に見るじゃがいものおいしい食べ方・その1

芋がおいしい季節。海外ではどうでしょう? 「イギリスではじゃがいもは“主食”」と言う、イギリスの料理やお菓子の研究を続けている砂古玉緒さんに、イギリスでのじゃがいも事情を伺います。「イギリスのじゃがいもの種類は豊富でおいしい。全土で栽培されているため、マーケットにはその土地でとれたじゃがいもが並びます。最近は、地産地消が見直され、地元でとれた旬のものを選ぶ傾向が強くなってきています。ゆでたり蒸したりした野菜料理は、イギリスの食卓に欠かせません」。

どうしてこんなにおいしいんだろう。イギリスのじゃがいもを前に、いつもそう思います。ゆでてもふかしても揚げても、まるごとでもマッシュしても、スライスしてもおいしいのです。イギリスの夕食にはブレッドは出されず、その代わりにじゃがいもが欠かせません。温かいじゃがいもが山盛り出てくるのです。

一年を通してその種類は豊富で、ジャケットポテトに適したもの、チップス(フライドポテト)によいものなどがあります。

イギリスの友人と夕食を作っているときに、マッシュポテトの作り方で驚いたことがありました。通常は皮ごとゆでて熱いうちに皮をむきますが、彼女は、皮をむいてから乱切りにしたものをゆでていきます。「うまみが逃げない?」と聞くと、「毎日大量に作るものよ。こうして作るのが早くできていちばんよ!」とのことでした。この作り方はそのあと、ほかでも何度も経験したので感心したものです。 

また、じゃがいもを器のように敷き詰めて料理することもあります。じゃがいもがパイ皮のようにしっかり支えてくれるのです。さらに、蓋のようにかぶせる料理もあり、調理道具の一部のように使われることもあります。

有名なジャケットポテトは、まるごとじっくり焼き上げ、ほくほくにします。皮はほどよく離れ、ナイフとフォークですっとはずせますが、皮ごと食べる人もいます。じゃがいものおいしさを引き立てる料理。イギリスのじゃがいも料理は、日本のじゃがいもでもおいしく作れます。


料理によって、じゃがいもを使い分けます
イギリスの友人の家で、じゃがいも料理を習ったとき、各調理法に適したじゃがいもがあることを教わりました。イギリスのスーパーには、豊富な種類のじゃがいもが並びますが、パッケージに適した調理法が書いてあるので、吟味して買うことができます。


器代わり、蓋代わりにもなります
じゃがいもを蓋のように上にかぶせることで、下の具材の乾燥を防ぎ、しっとり仕上げるという調理法もあります。
イギリスで習ったじゃがいも料理のひとつ。細くおろしたじゃがいもをパイディッシュにパイ生地のように敷き詰め、その上に具材をのせて焼きます。


上の写真の白いにんじん「パースニップ」は日本ではあまり見ませんが、ローストやマッシュ、煮込み料理に多用する野菜です。芽キャベツは大鍋でじゃがいもといっしょにゆでます。じゃがいもと野菜の料理は、毎日できたてを食べます。


じゃがいも料理に長けているイギリスならではの選び方やおいしい食べ方が色々ありそうですね。次回のコラムでは、じゃがいも料理のコツを教えていただきます。


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砂古玉緒(さこ たまお)/広島県生まれ。約10年のイギリス在住時に、イギリス料理とイギリス菓子の取材、研究、製作を行う。2004年に教室をスタートし、日本とイギリスで人気を博す。現在、テレビ、雑誌、書籍、イベント、全国のカルチャースクール講師などで活躍中。2014年NHK連続テレビ小説『マッサン』で、スコットランド料理・菓子製作指導を担当。著書に『お茶の時間のイギリス菓子 伝統の味、地方の味』(世界文化社刊)ほかがある。
http://www.britishpudding.com/

撮影:石川奈都子

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