【コラム】プロに教わるほうれん草の「火入れ」。“サッとゆで”か“よくゆで”か? 野菜の個性を逃さずにゆでるコツ

ほうれん草をゆでるとき、どんなタイミングで鍋から引き上げればいいのか迷っているうちに、ついついゆですぎてしまうことはありませんか? 今日はほうれん草を例に、野菜料理の「火入れ」のコツを、東京・銀座「マルディ グラ」オーナーシェフの和知 徹さんに教えていただきます。後半ではゆで方に応じたレシピもご紹介いただきました。

“サッとゆで”と“よくゆで”

野菜料理がおいしくなるか、ならないか。火の入れ方で色合いや食感、風味まで変わります。
「特に“ゆでる”場合はどう仕上げるかによって、“サッとゆで”か、“よくゆで”か選択します。
味が抜けると敬遠されがちな”よくゆで”も、野菜をソース的に味わう一つの方法です」と和知シェフ。
野菜の個性を逃さずにゆでるコツを教わりました。

●サッとゆで●
火は通っているが、茎はハリが残っている状態。素材感を生かしたおひたしやサラダなどに。


●よくゆで●
葉も茎もしんなりして、しっかり火が入っている状態。ソースやディップなどに。

基本は2STEP~ゆで方のコツ

●STEP1_サッとゆで/よくゆで共通●
鍋に湯を沸かし、0.5%の塩を加える。沸騰したら、根元部分だけ浸す。根元部分がしんなりしてきたら、少しずつ湯に沈める。
※パスタをゆでるときより塩分は少なめ。


●STEP2_サッとゆでの場合●
全体を沈めたら、すぐに引き上げる。ざるに上げて、冷ます。
※冷水に落とすと風味が抜けてしまう。



●STEP2_よくゆでの場合●
ポコポコ沸いた状態を保って、ゆっくりゆでる。菜箸に取るとダランとした感じになったら、ざるに上げて冷ます。
※個性が抜けるので絞らない!



次に、“サッとゆで”と“よくゆで”、それぞれのほうれん草で作るレシピ例をご紹介しましょう。

“サッとゆで”で「ほうれん草の粒マスタード和え」

心地よい歯ざわりの葉と茎を噛みしめると、ほうれん草の風味が勢いよくほとばしります。これぞ、“サッとゆで”ならでは。洋風ナムル感覚で、ほうれん草がたっぷり食べられます。

【材料】(2人分)
ほうれん草……8株(160g)
にんにく(みじん切り)……小さじ1/8
粒マスタード……大さじ2
くるみオイル(ごま油で代用可)……大さじ1
塩……適宜

【作り方】
1. ほうれん草はちぎって葉と軸に分け、“サッとゆで”パターンでゆでる。粗熱が取れたら、ペーパータオルではさんで水けをよく拭き取る。
2. ボウルににんにく、粒マスタード、くるみオイルを入れて合わせのばす。
3. 1と2を和える。味をみて、足りなければ塩で味を調える。

【Chef’s Advice】
“サッとゆで”特有の素材感を生かしてシンプルに和えるだけ。少しおくと、味がなじみます。

“よくゆで”で「クリームスピナッチ」

まさにほうれん草のクリーム。“よくゆで”した上で、さらにじっくり煮るので、ほうれん草と牛乳のクリーミーな風味が一体化。ほうれん草の甘みがしっかり味わえます。

【材料】(2人分)
ほうれん草……8株(160g)
にんにく……1片
牛乳……適量
バター……小さじ2
塩……適量
パン……適宜

【作り方】
1. ほうれん草は“よくゆで”パターンでゆでる。
2. 1を小鍋に入れる。にんにく、塩1つまみを加え、牛乳をひたひたになるまで注ぎ、中火にかける。
3. 煮立ったら弱火にし、吹きこぼれないよう注意しながら煮込む。
4. 水分がほぼなくなったらバター、塩1つまみを加えて混ぜ合わせる。お好みでパンを添える。

【Chef’s Advice】
“よくゆで”ならではの調理法。ブロッコリーなど緑色の野菜で応用できます。肉やサーモンなどに添えるとソースの役目に。カリッと焼いたカンパーニュにのせるのもおすすめ。

“サッとゆで”したい場合は、最初に根元部分を浸しておけば、全体を沈めてすぐに引き上げていいんですね。“よくゆで”で作るクリームもおすすめです。早速今夜から実践してみましょう。



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和知 徹(わち とおる)/1967年生まれ、兵庫県出身。調理師専門学校在籍中に渡仏。その後、フランスや日本のレストランで腕を磨き、1998年から銀座「グレープガンボ」の料理長を務める。2001年に独立し、東京・銀座に「マルディ グラ」オープン。

撮影:日置武晴

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