分とく山・野崎洋光さんに教わる“料理上手になる食材のきほん”―みりん編

明日は「本みりん」の日。そこで東京・南麻布「分とく山」総料理長の野崎洋光さんが、料理人として長年にわたり食材と向き合い、日本各地の農家を訪ねるなどして蓄積されてきた食材の知識を、集大成としてまとめた本『料理上手になる食材のきほん』から、みりんをご紹介します。レシピ例は「里芋の含め煮」です。旬の里芋の美味さを引き立てる、みりんのいい仕事ぶりを実感できます。

みりんのきほん

主成分は、40~50%のブドウ糖をはじめオリゴ糖など多くの糖類。アミノ酸などの旨み成分や、12~15%のアルコールも含みます。蒸したもち米、米麹、焼酎(または醸造アルコール)を原料に醸造し、糖化・熟成させて作ったもの。正月のおとそ、ひな祭りの白酒などにも使用。

ルーツは、古くから日本にあった「練酒」「白酒」などの甘い酒という説や、中国伝来の「蜜淋(みいりん)」が戦国時代に九州に伝来という説も。江戸中期には甘い酒として珍重され、調味料としても使われるように。昭和30年代に一般家庭に普及しました。

「みりん風調味料」(「料理のコツ」参照)などと区別するため、「本みりん」と呼ばれます。アルコール分があるため酒税がかけられ、酒類販売免許のある店でのみ販売。

【選び方】
パッケージの表示を確認し、原材料などを知って選びましょう。

【栄養】
炭水化物が多く、アミノ酸も豊富。ビタミンB群やミネラルの銅も含まれます。

【料理のコツ】
みりんは、まろやかで奥深い甘みがあります。この甘みを上手に利用するのがポイント。濃度があるので、煮詰めると料理にツヤや粘り気、いい匂いをもたらします。煮汁やソースを作るのに好都合ということ。

またアルコール分は均一に味がしみ込むのを助け、蒸発する際に素材の嫌な臭いも付着。煮くずれを防ぎ、きれいな焼き色も付けます。同じ醸造調味料である醤油、酢、味噌などとは相性がよく、それぞれの効果を高める作用も。

ところで「みりん風調味料」や「みりんタイプ発酵調味料」というものがあります。前者は高濃度の糖液に塩分、アミノ酸、化学調味料などを加え、アルコール分はほとんどありません。後者はアルコールが含まれますが、飲用できないように塩分を高濃度に加えたもの。どちらも酒税がかからないので「本みりん」より安価で、一般の食料品店で売られています。しかし前者は醸造ではないため風味が落ち、アルコールによる調理効果がなく、後者は料理の味付けがブレるので、やはり「本みりん」をどうぞ。

里芋の含め煮


材料(2人分)
 里芋……10個
 米のとぎ汁(または米ぬか)……適量
 煮汁
  だし……2と1/2カップ
  煮干し……2本
  みりん……大さじ4
  塩……小さじ3/5
  淡口醤油……少々
 青柚子の皮……適量

作り方
1. 里芋は皮を六方にむき、米のとぎ汁に入れて火にかけ、柔らかくなるまでゆでる。別鍋に沸かした熱湯に移し、さらに弱火で3分ゆで、ざるに上げて水気をきる。
2. 鍋をきれいにして煮汁の材料を合わせ、1が熱いうちに加えて火にかける。落とし蓋をして、沸騰させず80℃で20分煮含める。
3. 器に盛り、青柚子の皮を刻んで散らす。



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野崎洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長。1953年、福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業、栄養士でもある。従来の考え方にとらわれない今の時代に合った料理哲学を、やわらかな語り口で分かりやすく説く、稀有な料理人。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。『和食のきほん、完全レシピ』(小社刊)、『日本料理 前菜と組肴』(柴田書店)など、著書も多数。

撮影:日置武晴

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