今食べたい! 美味しいイチゴ、人気の品種14~それぞれのおいしさを識る

今日は「いちごの日」。最近は冬でもイチゴが食べられるようになり、目移りするほどさまざまな品種が店頭を賑わせています。何が違うの? どれがおいしいの? いつ出回るの? そこで、イチゴの美味しい品種の特徴や旬の時期について、日本のフルーツ生産者と市場の職人さんたちから聞き集めた耳より情報が満載の本『知ればもっとおいしい! 食通の常識 厳選フルーツ手帖』からご紹介します。あなたが食べたいのは、どのイチゴ?


少し前までは「女峰」や「とよのか」が主流だったが、最近では「とちおとめ」「あまおう」「紅ほっぺ」など多くの新しい品種が出回っているいちご。野いちごは古くから食べられていたが、現在のようないちごが日本に伝わったのは江戸時代末期で、本格的に普及したのは明治以降とされている。本来は春~初夏が旬だが、近年はクリスマスシーズンに合わせて11月頃から出荷が始まり、夏から秋にかけては輸入ものが出回るなど、1年を通して楽しめる果物になってきている。ビタミンCが豊富なことで知られており、8~10粒で1日のビタミンCの必要量を摂取できる。そのため美肌効果や風邪予防が期待でき、貧血予防に効果がある葉酸や、血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑制する食物繊維も含んでいる。抗酸化作用が強く、ガン予防、動脈硬化予防にも効果的だ。

とちおとめ ~生産量と知名度ともにNo.1

生産量と知名度ともに不動の地位を確立。「女峰」の後継品種として栃木県農業試験場で育成され1996年に登録。「女峰」より収量は多く、食味も甘みが強く大粒な点が人気となり一気に東日本でシェアを広げた。生産量が日本一を誇る栃木県内では9割以上が「とちおとめ」を栽培している。12月頃に出始め5月頃まで出回る。出荷時期によってばらつきはあるが酸味が少なく甘味が強い。果肉は比較的硬く、日持ちは良い。食味は、酸味と甘みのバランスが良い。果肉がしっかり締まっている一方でジューシーさがある。果形は大粒で円すい形が一般的だが、寒波の影響を受けると小粒が多く出回る。

収穫時期で1番果、2番果と移る
イチゴの本来の旬は5月頃だが、クリスマスの高需要期を狙って12月頃に収穫期を無理やり持ってきた。この頃収穫した果実を1番果と呼ぶ。2月頃に収穫する2番果の方が安定した栽培環境で、食味も良く、価格も安定するのでお勧め。



出荷時期:栃木12月~5月/茨城12月~5月/愛知12月~5月
大きさ:平均15g前後
登録品種名:「とちおとめ」
交配:「久留米49号」×「栃の峰」

あまおう ~大果系イチゴの先駆け

「とよのか」に代わる品種として福岡県農業総合試験場で育成され2005年に登録された。「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字を合わせて「あまおう」。商標登録されているため生産販売できるのは福岡県の生産者のみに限られる。ブランド戦略が成功し、大果系の高級イチゴの先駆けとしての知名度を上げた。酸味が少なく甘みを感じやすい。果皮は濃い紅色でツヤがある。果肉は淡い赤色。大粒で迫力ある外観でシーズン序盤は歳暮需要が高い。ただ贈答用に限らず、一般のスーパーで並ぶものでも他の品種に比べて大きく人気がある。

イチゴの美肌効果
イチゴには食べると美肌になる嬉しい効果が期待できる。例えばビタミンCは100gあたり62mgも含まれ、肌の調子を整えるほか、豊富な食物繊維は便秘改善効果もあるといわれているため、朝食におすすめのフルーツ。



出荷時期:福岡12月~5月
大きさ:20g~40g
登録品種名:「福岡s6号」
交配:「久留米53号」×「久留米49号×さちのか」

スカイベリー ~高級イチゴの頂点を狙う栃木の新品種

イチゴの生産量全国1位を誇る栃木県の新品種。2014年に品種登録された。愛称「スカイベリー」は大きさ、見た目、味の全てが大空に届くようにとの意味が込められている。「とちおとめ」より大粒で3L級(25g)以上の発生率が多く、形はきれいな円すい形。多汁で甘みと酸味のバランスが良い。高級イチゴとして、ギフトやスイーツ需要に期待が高まる。



出荷時期:栃木12月~3月
大きさ:30g~40g
登録品種名:「栃木i27号」
交配:「00-24-1」×「栃木20号」

さちのか ~ビタミンCが多く、歯ごたえしっかり

安定した糖度で酸味は少なめ。果肉が硬めで噛みごたえはある。果皮は濃い紅色で形も良くそろっている。日持ちが長く輸送に優れている。他のイチゴよりビタミンCも多い。ただ、熟しすぎると外観が黒ずんだ赤になりやすい。千葉県では「さちのか」をステビア農法で栽培し、「紅つやか」という商品名で販売している。



出荷時期:福岡10月~2月/佐賀10月~2月/愛媛10月~12月
大きさ:10g~20g
登録品種名:「さちのか」
交配:「とよのか」×「アイベリー」

紅ほっぺ ~香り良く、ほどよい酸味で人気上昇

静岡いちごの代名詞。2002年に品種登録された。親品種「章姫」の香りと糖度、「さちのか」の酸味とコクを引き継ぐ。果肉はやや硬め。外観はやや長めの円すい形。出回り期間は長く、3月頃が出荷のピーク。果肉の色は鮮やかな赤色で、半分にカットすると断面の模様がきれいに出る。果肉の赤色が鮮明でジャム利用にも向いている。



出荷時期:静岡12月~5月
大きさ:30g前後
登録品種名:「紅ほっぺ」
交配:「章姫」×「さちのか」

きらぴ香 ~光沢のある外見と甘みが強みの新品種

2014年冬に「紅ほっぺ」以来15年ぶりに登場した静岡県生まれの話題の新品種。28万株の中から選び抜かれた。縦長で光沢がある外見が特徴。酸味は控えめで濃厚な甘さを楽しめる。果皮が硬めで傷が付きにくく流通上のメリットも大きい。「紅ほっぺ」より収穫時期が早く、シーズンを通じて安定した収量が期待できる。



出荷時期:静岡12月~5月
大きさ:30g前後
登録品種名:「きらぴ香」
交配:「紅ほっぺ」×「章姫」

章姫 ~酸味少なく柔らかさが子どもに人気

長年愛されている静岡いちご。販売は東日本が中心。大きさは「女峰」の約1・5倍。ピンクがかった薄い赤と細長い円すい形の外観が特徴。上品な甘さで酸味がほとんどない。口当たりは滑らかでみずみずしい。果皮は柔らかく直売所で人気がある。形がそろっているのでケーキなどのトッピングにも適している。



出荷時期:静岡12月~3月/愛知12月~3月
大きさ:25g~40g
登録品種名:「章姫」
交配:「久能早生」×「女峰」

ゆめのか ~後続産地も導入進む

愛知県が2007年に登録した県オリジナル品種。栽培が簡単で味が良く、傷みにくいため長崎などで導入が進んでいる。多汁で適度な甘みと酸味がある。果皮が硬く傷みにくく、完熟間際で収穫できる上、完熟しても黒ずみなく光沢が続く。大粒(平均20g)で円すい形。果肉は淡い紅色に中心は空洞がある。病害虫に強く、減農薬で栽培しやすい。



出荷時期:愛知12月~5月/長崎12月~5月
大きさ:20g前後
登録品種名:「ゆめのか」
交配:「久留米55号」×「系531(女峰×ビーストロ)」

初恋の香り(白いちご) ~熟しても赤くならないギフトに人気の白イチゴ

山梨県の育苗会社と福島県の育種者が開発し2009年に登録。果皮が淡いピンクから白色で熟しても赤くならない品種。果肉も白色であまり日持ちはしない。独特の香りが強い。しっかりと甘みがあり酸味は少ないがイチゴ本来の味とジューシーさを感じる。生産量は少なく、ギフトに人気。百貨店や高級フルーツ店を中心に販売されている。



出荷時期:山梨12月~4月
大きさ:30g前後
登録品種名:「和田初こい」
交配:不明
※写真提供:三好アグリテック株式会社

淡雪(白いちご) ~歯ごたえのある果肉がほんのり橙色の新品種

鹿児島県の生産者によって育成された白イチゴ。「さがほのか」の変異株で2013年に登録されたばかりの新品種。表皮の色は淡い橙色から桜色。「初恋の香り」は果皮と果肉ともに白色に対し、「淡雪」は果肉がほんのり橙色。形は縦長の円すい形で重さは20gほど。糖度は高く酸味は少なめで果肉はやや歯ごたえがある。



出荷時期:福岡10月~2月/青森10月~2月/岩手10月~12月
大きさ:20g前後
登録品種名:「淡雪」
交配:「さがほのか」の変異株

さがほのか ~佐賀を代表する主力品種

佐賀県の主力品種で、主に九州地方で栽培されている。果皮は艶のある紅色で果肉はきれいな白色。糖度が高く酸味が少ないので食べやすい。果形は円すい形で粒の揃いが良い。糖度10度以上で3Lを超える大粒の「さがほのか」は、色や外観など厳しい出荷基準で選び抜かれた後に、「さがいちごプルミエ」として限定販売されている。


出荷時期:佐賀12月~4月
大きさ:30g前後
登録品種名:「さがほのか」
交配:「大錦」×「とよのか」

ひのしずく ~熊本限定の大粒イチゴ

熊本県のオリジナル品種。「ひのしずく」は愛称。果実は大きく、縦横比が同じくらいで果形は丸みがある円すい形。果肉は白色でやや硬め。果皮は軟らかい上、甘みが強く、酸味がおだやかで食べやすい。短期間で生長や開花するので暖地に向いている促成品種。香港やシンガポールなどアジア圏への輸出にも力を入れている。



出荷時期:熊本12月~3月
大きさ:18g以上
登録品種名:「熊研い548」
交配:「さちのか×栃の峰」×「久留米54号×栃の峰」

もういっこ ~寒冷地に適した品種

宮城県のオリジナル品種で東北の寒冷地の気象条件に適した品種。大粒で甘みと酸味のバランスが良く、ついついもう一個と手がのびてしまうことから名付けられた。果実は硬く日持ち性に優れている。果皮は鮮やかな赤色でがく片の付け根までしっかりと色が付く。果肉は中心まで淡い赤色で空洞はほぼない。うどんこ病や萎黄病に抵抗性が高い。



出荷時期:宮城1月~5月
大きさ:20g~30g
登録品種名:「もういっこ」
交配:「MN3」×「さちのか」

やよいひめ ~最盛期は3月弥生

群馬県の育成品種で2005年に登録。最盛期は3月(弥生)。外観は円すい形で果皮は少しオレンジがかった明るめの赤色。大粒で他のイチゴより食感は硬く日持ち性に優れており傷みにくい。甘みは強い。香り高く身が引き締まっている特性をいかし、乾燥加工した「やよいひめ」を「ドライやよいひめ」として商品化もしている。



出荷時期:群馬1月~5月
大きさ:平均20g前後
登録品種名:「やよいひめ」
交配:「とねほっぺ×とちおとめ」×「とねほっぺ」


今回ご紹介した『知ればもっとおいしい!食通の常識 厳選フルーツ手帖』には、ほかにもりんご、ももやぶどうなど、おいしいフルーツを食べるために知っておきたい情報が満載です。



撮影:久保田彩子

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