今さら聞けない、おいしいお燗をつけるための3ステップ

寒い時期には熱燗をキュッと飲んで温まりたいもの。でも、なんとなく自己流に燗をつけて「こんなもんかな」と飲んでいるとしたら…もったいない! そこで、酒食ジャーナリストの山本洋子さんがまとめた本『厳選日本酒手帖』から、美味しいお燗のつけ方を紹介します。

純米の神様といわれた上原浩先生が残した名言「酒は純米、燗ならなおよし」。完全発酵させ、熟成を経た純米酒なら、お燗をつけると香りと味がグッとふくらんで、なんとも幸せな味に化ける。温度を上げることで引き出される味の豊かさ、キレ味の良さは一度ハマると抜け出せない。ただし、大吟醸クラスは味わいが繊細。40℃前後から、味見して確認を。

お燗をおいしくつける3step


●step-1
徳利に熱湯を通す。中のホコリや、匂いを取り、器を温める効果がある(これをするとしないじゃ大違い)。

●step-2
徳利に首部分まで酒を注ぐ。この時、首の上まで注がない。温めると酒は膨張するので、溢れてしまう。この現象を利用して温度計代わりに使うのだ。酒が増える分で、酒の温度がわかる。

●step-3
口径が狭い鍋かヤカンに、徳利が肩までつかる水を入れて沸騰させ、火を止める。そこへ首まで酒を注いだ徳利を入れ、2~5分待つ。液面が3mmほど上がるとぬる燗。1cm~上がれば熱燗だ。


割り水燗のススメ
5~10%の水を加えて燗をつけるのが割り水燗。口当たりよく、飲みやすくなる。徳利3本目から、割り水燗するのもよい。意外にわからない(笑)。酒1合に大さじ1の水で、アルコール度数が15℃なら13~14℃に下がる。


徳利の素材もいろいろ
熱伝導率が高いステンレス、アルミなどの金属製品、薄手でつけやすい磁器、分厚い陶器は一度温めると保温性抜群、首を持っても熱くない。スピード、味とも、素材で変わってくる。酒と好みで選ぼう。


ジョボ燗
またの名を「お燗タージュ」。お酒をまろやかにする燗テクニック。三重県の酒屋・安田屋の安田武史さんいわく。「デカンタージュと同じ感覚。向く酒は2タイプあり、ひとつは長期熟成タイプ。味が閉じこもった酒を開かせます。反対にまだ若くて渋く硬い酒。やり方はどちらも同じ。片手に温めた酒を入れたチロリ、もう片方に空っぽのチロリを持って15cmの高さから、インドのチャイよろしく、ジョボジョボと落とします。空気にふれてまろやかに。ジョボジョボいう音からジョボ燗と呼んでます(笑)」

●長期熟成の酒……50℃くらいに温めてジョボジョボ。移動は1回でOK。やり過ぎないこと
●若い酒……硬く、渋みを感じる若い酒は、55~60℃の飛び切り燗まで上げてジョボジョボ。移動は2~3回行います。アルコール度数が高い酒は、割り水を。

日本にしかない! イカ徳利

さすがに燗はつけられないが、イカの風味とうまみが乗り移ったイカ燗酒は、郷愁誘う味。温まったイカボディーを触った時の、なんとも言えぬ気持ちよさ(これは体験してほしい)。検索すると各地で販売している国民的徳利。愛すべき風体に加え、燗酒を入れるうちに、おいしくなるのも素晴らしい。肴にもなる酒の容器は、世界中探してもイカ徳利ただひとつ! 日本人の発想はちゃめっ気タップリ。

昔の酒器は小さかった!

これらの盃は50年以上昔の器。酒が10~15ml(大さじ3分の2~大さじ1)しか入らない。小さな杯ゆえ、サシツササレツができたとも言える。今の酒器は50mlは優に入るものが多い。昔に比べ酒のアルコール度数も上がっており、グイグイ飲めば酔うのは当然。飲むときは器も考えよう。

 

山本洋子(やまもと ようこ)/酒食ジャーナリスト 地域食ブランドアドバイザー。鳥取県境港市・ゲゲゲの妖怪の町生まれ。素食やマクロビオティック・玄米雑穀・野菜・伝統発酵調味料・米の酒をテーマにした雑誌編集長を経て、地方に埋もれた「日本のお宝! 応援」をライフワークにする。「日本の米の価値を最大化するのは上質な純米酒」+穀物、野菜・魚・発酵食、身土不二、一物全体を心がける食と飲生活を提案。地域食ブランドアドバイザー、純米酒&酒肴セミナー講師、酒食ジャーナリストとして全国で活動中。境港FISH大使。著書『純米酒BOOK』。モットーは「1日1合純米酒! 田んぼの未来を燗がえる!」。
www.yohkoyama.com
撮影:海老原俊之

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