チョコレートクリームとの相性抜群! プロに教わるおいしいクッキー“貴婦人のキス”

焼き菓子が恋しい季節になりました。連休にはお家でお菓子を手作りしませんか。ご紹介するのは、チョコレートクリームを挟んだ、見た目も可愛らしいクッキー「バーチ・ディ・ダーマ」です。日本におけるイタリア菓子界の第一人者とも称される東京・池尻大橋「ラトリエ モトゾー」オーナーシェフの藤田統三さんに教わります。
「バーチ・ディ・ダーマ」の名は、イタリア語で「貴婦人のキス」。イタリアでは小粒のクッキーを「バーチ(=キス)」と呼びます。この菓子ではころんとしたバーチ2個を、チョコレートクリームで貼り合わせます。配合の特徴は、アーモンドパウダーと小麦粉に片栗粉を少量混ぜること。さくさくとしたおいしさに加え、焼き上がりのひび割れができにくくなります。また、生地は1個ずつ手のひらで丸めますが、手の熱により崩れやすくなるので、力を入れすぎず手早く。美しく高貴な姿に仕上げましょう。
材料(15~20個分)
- クッキー生地
- バター(食塩不使用)
- 50g
- 粉糖
- 50g
- 塩
- ひとつまみ
- アーモンドパウダー※1
- 50g
- 中力粉
- 45g
- 片栗粉
- 5g
- チョコレートクリーム
- スイートチョコレート※2
- 30g
- バター(食塩不使用)
- 5g
-
※1 アーモンドパウダーはできるだけ細かい粒子のものを使う。あれば100メッシュでふるった製品。
-
※2 スイートチョコレートは市販の板チョコレートでもOK。
作り方
- 道具● 特に用意する道具
オーブンシート、ふるい(あれば100メッシュ)、温度計 - 準備● バター(生地用、クリーム用)を柔らかくする。● オーブンを160℃に予熱する。● 天板にオーブンシートを敷く。● アーモンドパウダーをふるう。● チョコレートを刻む。
- 1
クッキー生地を作る。バターをボウルに入れ、ゴムべらで軽く練って塩を入れ、さらに練ってなじませる。
- 2
粉糖を1/3量ずつ3回に分けて加え、そのつど混ぜてなじませる。※粉糖は全量を入れると均一に混ぜにくいので3回に分け、白い色が消えたら次を入れます。空気が入ると焼いた後にひびが入りやすいので、練り混ぜてなるべく空気を入れないようにしましょう。
- 3
アーモンドパウダーを全量加え、混ぜて生地になじませる。※アーモンドの油脂分がバターとなじみやすいので、粉類を入れる前にアーモンドパウダーをよくなじませておきます。
- 4
中力粉と片栗粉を小さめのボウルに入れ、小さな泡立て器などでよく混ぜる。ふるいながら3の生地に加える。
- 5
最初はゴムべらで切るように混ぜる。写真のような小片にまとまってくる。
- 6
次はゴムべらで押しつぶしながら混ぜて、バターと粉をなじませていく。
- 7
生地全体がしっとりして粉気がなくなってきたら、手のひらでつかみながらまとめていく。
- 8
ポロポロとした細かなそぼろ状になったら、約5g分を取り、手のひらで素早く丸めて状態を確認する。表面がなめらかに丸まればOK。※丸まりにくい時は、水(分量外)を少量足してください。
- 9
生地の半量をラップで包み、手のひらで押さえながら細い棒状にまとめる。残り半量も同様に。
- 10
ナイフやカードで1個5~6gに切り分ける。
- 11
1個ずつ、手のひらで丸める。一度両手で押さえてつぶし、再び丸める。天板のオーブンシートに間隔をあけて並べる。※1個につき3~4秒で素早く、圧力をかけすぎないように丸めるのがコツです。また、一度つぶすことで崩れにくくなります。
- 12
丸めた時の失敗例。※時間や力をかけすぎると手の熱が加わり、生地の中の油分が溶けて粉にしみ込んで、生地がボロボロになってきます。
- 13
1個ずつ、生地のトップを指で軽く押してドーム状にする。室温で半日乾燥させる(急ぐ時は2~3時間でも)。※生地は直径2cmほど。球状のまま焼くと下半分の生地が垂れ、その結果頂点が割れてくるので、最初にドーム状にしておきます。
- 14
160℃のオーブンで20分ほど焼く。写真は焼き上がり。天板にのせたまま粗熱をとる。
- 15
チョコレートクリームを作る。チョコレートをボウルに入れ、湯せんにかける。ゴムべらで混ぜながら溶かし、半分溶けたところで湯せんをはずす。※チョコレートにざらつきが出ないよう、60℃以下で溶かすようにしましょう。
- 16
チョコレートを35~40℃に冷ましてからバターを加え、溶けるまで混ぜる。※出来上がったチョコレートクリームは、すぐに挟んでもよいし、室温でしばらくおいておいてもかまいません。
- 17
14の生地の半量を裏返しにし、生地の平らな面にチョコレートクリームをスプーンですくって少量ずつのせる。※チョコレートクリームはバターが入っているので、すぐに固まることはありません。
- 18
クリームをすべてのせ終えたら、対になるもう一方の生地をのせてギュッと押さえる。チョコレートが固まったら食べごろ。
Point1
Point2
藤田統三(ふじた もとぞう)/1970年大阪生まれ。フランス菓子専門店にてフランス菓子を学んだ後、ジェラートを極めるべくハーゲンダッツジャパン(株)に入社し、メニュー開発に携わる。97年イタリアンレストランにてイタリア人パティスリーシェフのもとで働いたことをきっかけに、イタリア菓子に魅せられる。99年に渡伊、ロンバルディア州ヴァレーゼ近郊のパスティッチェリーアで修業。帰国後は大阪のイタリア菓子店のシェフに就き、その間再度渡伊し、チョコレート専門店で修業。2005年東京・表参道の「ソルレヴァンテ」の立ち上げから参加、取締役統括シェフを務めたのち、16年夏、東京・池尻大橋に「ラトリエ モトゾー」を開店。イタリア菓子の歴史や古いレシピの研究などにも注力し、専門学校や大学などで指導も行う。
撮影:日置武晴
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