【レシピ・モーン シュトレン】クリスマスへのカウントダウンが楽しみになるケーキ

この時期になると、街のパン屋さんなどでも目にするようになるのが、クリスマスのケーキとしておなじみのシュトレン。今年は手作りで楽しみませんか? 横浜の人気店「ベルグの4月」をオープンし、オーナーシェフを長年務められた山本次夫さんの、けしの実を使ったレシピです。
「シュトレンはドイツ・オーストリアのクリスマス菓子。私がスイスのホテルで修業していたときに作っていたレシピがベースです。本来はキリストのおくるみを模した、楕円形に成形しますが、パウンド型で作りやすいようにアレンジしました。けしの実(モーン)をペースト状にした、けしの実あんを巻き込んで作るため、けしの実のぷちぷちした歯ざわりが印象的な仕上がり。たっぷり入ったフルーツの風味とスパイスの香りが、深い味わいとうまみを醸し出します」
材料(パウンド型2台分)
- シュトレン生地
- 【A】強力粉
- 125g
- 【A】薄力粉
- 300g
- 【A】ドライイースト
- 12g
- 【A】グラニュー糖
- 50g
- 【A】塩
- 3g
- 【A】レモン(皮を使用)
- 1と1/2個
- 【A】シナモン、クローブ、ナツメグ、カルダモン(すべて粉末)
- 合わせて6g
- 発酵バター(食塩不使用)
- 170g
- 牛乳
- 170g
- 【B】レモンピール
- 65g
- 【B】オレンジピール
- 65g
- 【B】ラムレーズン
- 50g
- 【B】バニラエッセンス
- 少量
- けしの実あん
- 黒けしの実
- 90g
- レーズン
- 12g
- パン粉
- 50g
- グラニュー糖
- 50g
- 牛乳
- 90g
- ラム酒
- 6g
- レモンの皮(すりおろしたもの)、レモンの絞り汁、バニラエッセンス、シナモン(パウダー)
- 各少々
- 仕上げ用
- 発酵バター(食塩不使用)
- 200g
- グラニュー糖
- 200g
- デコレーション用粉糖
- 適量
- 打ち粉(強力粉)
- 適量
作り方
- 道具18×8×6.5cmのパウンド型2個 麺棒 定規 L字形パレットナイフ 霧吹き 刷毛 薄紙 茶こし 軍手 網 万能こし器 ※オーブンは予熱220℃、焼成200℃で30分
- 準備● 生地用の発酵バターを室温で柔らかくし、泡立器でほぐしてかたまりのないクリーム状にする。
● レモンピールとオレンジピールを細かく刻む。
● 強力粉と薄力粉を合わせてふるう。
● レモンは皮の黄色い部分のみを薄くすりおろす。
● 型にバターを薄く塗っておく。 - 1-1
シュトレン生地を作るボウルにAを入れ、手で軽く混ぜ合わせる。
- 1-2
牛乳とクリーム状にしたバターを加え、手でよく混ぜる。
- 1-3
全体がしっとりしてきたら、生地に弾力が出るまで手のひらで10分ほどこねる。
- 1-4
こね上がりは、生地の表面がなめらかで少しつやがある状態。
- 1-5
生地にBをすべて加え、均一に混ぜる。
- 2
ボウルにけしの実あんの材料をすべて入れ、ゴムべらでペースト状になるまでよく練り混ぜる。
- 3
1 の生地を2等分し、打ち粉をした台の上で、麺棒を使って16×16cmの正方形にのばす。
- 4
2 のあんを2等分して3 にのせ、L字形パレットナイフで生地の縁を幅5mmほど残して、均一の厚さに塗り広げる。
- 5
生地を両端からくるくると巻き、中央で合わせる。
- 6-1
発酵、焼成5 を型に入れ、底まで押し込む。
- 6-2
表面に霧を吹き、35〜40℃の温かい所に置いて1時間30分ほど休ませる。※電子レンジの発酵機能を利用してもよい。
- 7-1
発酵後、型縁まで膨らんだ生地。
- 7-2
予熱したオーブンに入れ、200℃に下げて30分焼く。全体がこんがりときつね色になれば焼き上がり。
- 8-1
仕上げ焼いている間に澄ましバターを作る。仕上げ用の発酵バターを湯せんにかけて溶かし、黄色く透き通った上澄みのバターをそっと別容器に移す。※時間にゆとりがあるときは、前日に溶かしバターを作り、そのまま冷蔵庫に入れて冷やす。固まったバターの周囲にパレットナイフなどを入れて器からぱかっと取り出し、下に沈殿した白い部分を取り除き、上澄み部分のみを再度加熱して溶かすと、きれいな澄ましバターを作ることができる。
- 8-2
シュトレンが焼き上がったら、軍手をしてすぐに型から取り出し、熱いうちに刷毛で温かい澄ましバターをたっぷり塗る。※底面には塗らなくてよい。
- 9-1
薄紙の上にグラニュー糖を広げ、8 を転がしながら全体にたっぷりまぶしつける。
- 9-2
網にのせて冷ます。
- 10
9 が完全に冷めたら、茶こしで粉糖をたっぷりふる。
Point

Column
クリスマスを祝うケーキシュトレンはドイツ、オーストリア地方の伝統的なクリスマスケーキで、発祥は500年前のドレスデンだといわれています。スタンダードなシュトレンは、楕円形をちょっとずらして二つ折りにして焼くため、山のようにこんもり盛り上がった独特の形をしています。この形には、キリストの揺り籠を模した、生誕時のキリストがまとったおくるみ、または神父が首に掛ける布をかたどったなど諸説あります。
11月の中旬を過ぎるころになると、街中のお菓子屋さんやパン屋さんの店先に並べられ、家庭ではお母さんが何か月も前から仕込んでおいたフルーツやナッツをたっぷり使って焼き上げるシュトレン。クリスマスまでの4週間、家族が集うだんらんのひとときになくてはならないこのお菓子は、キリストを迎える喜びを味わう食べ物といえます。
11月の中旬を過ぎるころになると、街中のお菓子屋さんやパン屋さんの店先に並べられ、家庭ではお母さんが何か月も前から仕込んでおいたフルーツやナッツをたっぷり使って焼き上げるシュトレン。クリスマスまでの4週間、家族が集うだんらんのひとときになくてはならないこのお菓子は、キリストを迎える喜びを味わう食べ物といえます。
山本次夫(やまもと つぎお)/高校卒業後帝国ホテルに勤務、75年渡欧。スイス・インターラーケンのホテル・ボーリバージュ、ジュネーブのオテル・デ・ベルグで修業。カナダのバンフ・スプリングスホテルではシェフパティシエを務める。帰国後銀座「ペリニィヨン」「カトリーヌシェフ」、青山「キハチ」オープンに協力。88年横浜「ベルグの4月」をオープン。2014年までオーナーシェフを務める。
撮影:松本祥孝
一流シェフのパウンドケーキ

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