【レシピ・グラニータ】イタリア菓子の第一人者に教わる、口どけなめらかな定番の氷菓

いよいよ7月、氷が恋しい季節がやってきました。そこで今週ご紹介するスイーツは、イタリアの氷菓の定番「グラニータ」です。日本におけるイタリア菓子界の第一人者とも称される東京・池尻大橋「ラトリエ モトゾー」オーナーシェフの藤田統三さんに教わります。
日本では、フランス語の「グラニテ」になじみがあるかもしれませんが、イタリア語ではグラニータ。果汁などで風味をつけたシロップを凍らせ、粗い氷の粒にした氷菓です。シャーベットのような濃厚な味のねっとりした柔らかさではなく、ザクザクッとした氷の粒が、舌の上ですっと溶ける爽やかさがあります。
いろいろなフレーバーが作れますが、今回はグレープフルーツの果肉の粒を生かしたオリジナルのグラニータと、イタリアでは大定番といえるコーヒー風味の2種類をご紹介しましょう。
材料(作りやすい分量)
- グレープフルーツ味
- グレープフルーツ(ルビー)の果肉
- 1個分(約200g)
- グレープフルーツジュース(市販)
- 50g
- グラニュー糖
- 100g
- 水
- 100g
- レモン汁
- 30g
- チャービル(あれば)
- 少量
-
※グレープフルーツの果肉が1個で250gあれば、ジュース50gは入れなくてよい。
- コーヒー味
- エスプレッソコーヒー
- 150g
- きび砂糖
- 100g
- 水
- 150g
- チョコレートの飾り(あれば)
- 少量
-
※エスプレッソコーヒーは味の決め手になるので、おいしいものを選ぶ。
作り方
- 道具● 特に用意する道具
底面積が大きく、深さのあるバットなどの容器(出来上がり量の約2.5倍の容積があるとよい)、小鍋 - 準備● グレープフルーツの果肉は薄皮と種も除く。形は崩れてもよい。
- 1
グレープフルーツ味小鍋に水を入れ、グラニュー糖を流し込むように入れる。※入れる順番が大事。この順ならグラニュー糖が均一に溶けますが、逆だとグラニュー糖が部分的に固まりやすく、加熱した時にカラメル状に焦げやすいので注意。
- 2
強火にかけ、沸騰したらごく弱火にして1分間静かに沸かす。※軽く煮つめてシロップの状態を安定させます。鍋をふる程度ならよいですが、スプーンなどで混ぜると結晶化することがあるので、混ぜずに静かに煮つめます。
- 3
グレープフルーツの果肉を加え、ゴムべらで静かに混ぜながら果肉を細かくほぐす。※50℃くらいの温度で、2~3分混ぜれば細かくほぐれます。
- 4
細かくほぐれた果肉。ここで火からはずす。
- 5
粗熱をとってから、グレープフルーツジュースとレモン汁を加えて混ぜる。※シロップにレモンを加えて酸味を補って味にメリハリをつけ、また爽やかな香りを加えます。
- 6
5を冷ましたのち、平たいバットなどの容器に流す。ラップなどで覆い、冷凍庫で約2時間凍らせる。※容器が傾くと均一に凍りません。平らに置ける場所で凍らせましょう。
- 7
ゆるく凍った6を泡立て器でつぶし、均一な氷の粒にする。※最初は柔らかな氷です。つぶしている間に溶けてくるので、容器の下に断熱用の皿や布などを敷き、手早く行います。また、果肉が浮き、果汁が下にたまりやすいので、全体をよく混ぜて均一にしましょう。
- 8
表面を平らにならしてラップをかぶせ、冷凍庫で40分~1時間凍らせて同様に砕く。この工程をあと2回くり返す(計4回砕く)※徐々に氷の粒が硬くなってきます。細かい粒になるまでしっかり砕きましょう。
- 9
写真は4回目の砕く作業。これで完成。器に入れ、チャービルを飾る。※凍結が進むと、色が薄くなってきます。この段階から食べられますが、保管する時は表面を平らにならしてラップで覆い、冷凍庫へ。
- 10
コーヒー味小鍋に水100gを入れ、きび砂糖を流し込むように入れる。※きび砂糖を使うとシロップも薄茶色になりますが、黒いコーヒー液を入れるので問題ありません。風味的にもコーヒーときび砂糖は相性がいいですよ。
- 11
強火にかけ、沸騰したらごく弱火にして1分間静かに沸かす。※軽く煮つめてシロップの状態を安定させます。鍋をふる程度ならよいですが、スプーンなどで混ぜると砂糖が結晶化することがあるので混ぜないように。
- 12
鍋を火からはずし、温かいエスプレッソを加えて、混ぜる。
- 13
水50gを加えて混ぜる。※エスプレッソの濃度そのままでは、グラニータになった時にやや苦いので、水で薄めます。
- 14
冷ましたのち、平たいバットなどの容器に流す。ラップなどで覆い、冷凍庫で約2時間凍らせる。
- 15
ゆるく凍った14を泡立て器でつぶし、均一な氷の粒にする。表面を平らにならしてラップをかぶせ、再び冷凍庫で40分~1時間凍らせ、同様に砕く。この工程をあと2回くり返す(計4回砕く)。
- 16
写真は4回目の砕く作業。これで完成。器に入れ、チョコレートの飾りなどをのせる。※この段階から食べられますが、保存する時は表面を平らにならしてラップで覆い、冷凍庫へ。
Chef’s voice
Point1
Point2
藤田統三(ふじた もとぞう)/1970年大阪生まれ。フランス菓子専門店にてフランス菓子を学んだ後、ジェラートを極めるべくハーゲンダッツジャパン(株)に入社し、メニュー開発に携わる。97年イタリアンレストランにてイタリア人パティスリーシェフのもとで働いたことをきっかけに、イタリア菓子に魅せられる。99年に渡伊、ロンバルディア州ヴァレーゼ近郊のパスティッチェリーアで修業。帰国後は大阪のイタリア菓子店のシェフに就き、その間再度渡伊し、チョコレート専門店で修業。2005年東京・表参道の「ソルレヴァンテ」の立ち上げから参加、取締役統括シェフを務めたのち、16年夏、東京・池尻大橋に「ラトリエ モトゾー」を開店。イタリア菓子の歴史や古いレシピの研究などにも注力し、専門学校や大学などで指導も行う。
撮影:野口健志
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