【レシピ・パンナコッタ】ゼラチンを使わず12世紀のレシピで作る、とってもおいしい生クリームのプディング

今週の「週末のスイーツ」は、日本でも定番のひとつとなったイタリアのお菓子「パンナコッタ」です。東京・池尻大橋「ラトリエ モトゾー」オーナーシェフの藤田統三さんに教えていただくのは、ゼラチンではなく卵白で固める昔ながらのレシピ。「家庭で作りやすく、またくり返し作りたくなるような味をご紹介します」の言葉どおり、またいつ作ろうかとワクワクするおいしさです。
生クリームに火を入れて冷やし固め、プディングのようなプルプルの柔らかい食感を楽しむ冷菓です。
現在はたいていゼラチンで固めますが、12世紀の古いレシピにさかのぼると、生クリームに卵白を加えて加熱し、卵白の凝固作用で固める方法がのっています。
ここでご紹介するのはその卵白バージョン。卵黄が入っていなくともカスタードプディングのような風味のよさがあり、また生クリーム100%のくどさを感じさせないので牛乳で割る必要がありません。
材料(18×8×高さ6.5cmのパウンドケーキ型2台分)※1
- 生クリーム(乳脂肪分40%)
- 450g
- 卵白
- 150g
- グラニュー糖
- 75g
- バニラビーンズペースト※2
- 少量
- オレンジの皮(1.5×10cm)
- 2枚
- カラメルソース
- グラニュー糖
- 60g
- 水
- 40g
-
※1 手順写真のパウンドケーキ型は継ぎ目があり、生地がもれる可能性があるので、継ぎ目のない型がベストです。
-
※2 バニラビーンズペーストは、バニラエッセンス、バニラオイルで代用してもよい。
作り方
- 道具● 特に用意する道具
小鍋(深さ約10cmのもの)、バット(深さ4.5cm以上)、ハンドブレンダー(刃の周りにドーム状の傘があるものは撹拌するときに空気が入るので、液面に斜めに入れて空気が入らないようにして使う) - 準備● 卵白を室温にもどす。● オーブンを170℃に予熱する。
- 1
カラメルソースを作る。小鍋に水の半量を入れ、グラニュー糖を流し入れるように加える。中火にかけて溶かし、しばらく煮つめる。※必ず、先に水を入れてください。スプーンなどで混ぜると結晶化するので、混ぜずに静かに煮つめましょう。
- 2
シロップが淡く色づいてきたら、弱火にする。ここからは鍋をゆらして均一に色づけながら、さらに煮つめる。
- 3
濃いこげ茶のカラメル色になったら火を止め、残りの水を入れて温度上昇を止める。※カラメルがはねやすいので、やけどをしないように注意してください。深さのある鍋を使っていれば、はねをガードしてくれるので安全です。
- 4
鍋をゆらしてカラメルの濃度を均一にし、出来上がり。※水を入れるタイミングの違いで、カラメルの硬さに若干違いが出ますが、あまり気にしなくて大丈夫。
- 5
バットに薄手の布巾を敷き、パウンドケーキ型を置く。カラメルソースが熱いうちに流し入れる。※布巾を敷くと型がすべらず、安定します。
- 6
型を前後左右に傾けて、カラメルソースを底面全体に薄く敷きつめる。固まるまで室温においておく。
- 7
パンナコッタ生地を作る。ボウルに生クリーム、バニラビーンズペースト、オレンジの皮を入れ、電子レンジに3分かける。※オレンジの香りを移し、8で加えるグラニュー糖が溶けやすいよう、軽く温めます。
- 8
オレンジの皮を取り出し、卵白とグラニュー糖を加え、ハンドブレンダーで卵白のとろみがなくなるまで攪拌する。※ブレンダーを使うと卵白のコシがしっかり切れて、仕上がりがなめらかになります。
- 9
生地をこして別のボウルに移す。※こすことで、完全になめらかな生地に仕上げます。
- 10
準備しておいた6の型に9の生地を注ぐ。※カラメルが固まっていることを確認してから注ぎましょう。パンナコッタはあまり高さを出さないように作るので、2台に分けてちょうどよい高さになります。
- 11
熱湯をバットに注ぐ。170℃に予熱したオーブンに入れ、25~30分ほど焼く。※熱湯は生地と同じ高さまで注いで、熱が均一に柔らかく当たるようにします。
- 12
焼き上がり。氷水を張ったバットに型をのせて粗熱をとった後、冷蔵庫で冷やす。※型を少しゆらすと、生地はゆるゆるでさざ波が立つように動きますが、早めに動きが止まれば火が通っています。一晩おいたほうが生地が締まり、安定します。
Point1
Point2

Chef’s voice

パンナコッタはフルーツとの相性がよいので、食べる直前にいちごを小さくカットしたものやベリー類を飾って華やかにアレンジしてみてください。ちなみに私のおすすめの食べ方は、バルサミコ酢。ソースのように上にたらりとかけると絶品です!
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藤田統三(ふじた もとぞう)/1970年大阪生まれ。フランス菓子専門店にてフランス菓子を学んだ後、ジェラートを極めるべくハーゲンダッツジャパン(株)に入社し、メニュー開発に携わる。97年イタリアンレストランにてイタリア人パティスリーシェフのもとで働いたことをきっかけに、イタリア菓子に魅せられる。99年に渡伊、ロンバルディア州ヴァレーゼ近郊のパスティッチェリーアで修業。帰国後は大阪のイタリア菓子店のシェフに就き、その間再度渡伊し、チョコレート専門店で修業。2005年東京・表参道の「ソルレヴァンテ」の立ち上げから参加、取締役統括シェフを務めたのち、16年夏、東京・池尻大橋に「ラトリエ モトゾー」を開店。イタリア菓子の歴史や古いレシピの研究などにも注力し、専門学校や大学などで指導も行う。
撮影:日置武晴
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