【レシピ・トルタ・サッビオーサ】はかない口溶けにハマる! プロに教わるシンプルなイタリアのタルト

今週のスイーツは、焼き上がった形がまあるいお月様のように美しいイタリアのタルト、「トルタ・サッビオーサ」です。見た目も材料もシンプルですが、食べればその意外な口溶けにハマります。週末にぜひお楽しみください。プロセスも丁寧に教えてくださるのは、日本におけるイタリア菓子界の第一人者とも称される、東京・池尻大橋「ラトリエ モトゾー」オーナーシェフの藤田統三さんです。

サッビオーサは「砂のようにもろい」という意味で、その名前のとおりに、口に含むとほろほろと崩れる口溶けのよいケーキ。材料はいたってシンプルで、粉、バター、卵、砂糖の基本材料だけ。素朴なバターケーキですが、スポンジ生地のように最初に卵をよく泡立て、軽くてもろい生地に仕上げます。また、通常は片栗粉と小麦粉を1:1で合わせますが、ここでは片栗粉100%にして、よりキメが細かくはかない口溶けにしています。片栗粉と小麦粉の配合はお好みで。その中間の7:3くらいにしてもおいしいですよ。

材料(口径18cmのマンケ型1台分)

バター(食塩不使用)
85g
全卵
75g
グラニュー糖
125g
ふたつまみ
片栗粉
185g
ベーキングパウダー
0.5g
バニラエッセンス※
少量
粉糖(仕上げ用)
適量
打ち粉(強力粉)
適量
※ バニラエッセンスはバニラオイル、またはバニラパウダーで代用してもよい。

作り方

  1. 道具● 特に用意する道具
    ハンドミキサー、ケーキクーラー
  2. 準備● 卵を室温にもどす。
    ● オーブンを170℃に予熱する。
    ● 湯せん用の湯(30℃)を沸かす。
    ● バターを4~6等分に切る。
  3. 1マンケ型にバター少量(分量外)を塗り、打ち粉用強力粉を少量のせる。型をふって薄く、均一にまぶしつける。
    ※生地は型の高さの半分くらいまでしか膨らまないので、バターと強力粉も半分の高さまでまぶしてあれば充分です。
  4. 2バットに湯せん用の湯を張り、ボウルをおく。全卵、グラニュー糖、塩を入れて、ハンドミキサーの高速で泡立てる。
    ※グラニュー糖の量が多く溶けにくいので、湯せんにかけて温めながら泡立てます。
  5. 3生地に柔らかなとろみが出るまで泡立てる。
    ※最初は硬めのクリーム状ですが、次第にとろりとしてきます。数字の8の字を書きながら垂らした時に、すぐに筋が消えるようになれば泡立ては終わりです。
  6. 4バターをビニール袋か容器に入れて電子レンジに様子を見ながら10秒ずつかけ、柔らかくする。
    ※通常の柔らかいバターよりもさらに柔らかく、クリームのようにとろりとさせて生地に混ぜやすくします。完全には溶かしません。
  7. 5バターを3の卵の生地に入れ、ハンドミキサーの低速で少しずつ卵の生地と混ぜていく。
  8. 6充分に空気を抱き込んだ柔らかいクリーム状になるまで攪拌する。最後にバニラエッセンスを加えてひと混ぜする。
    ※ここで湯せんからはずします。
  9. 7片栗粉、ベーキングパウダーを別のボウルに合わせ、スプーンなどでよく混ぜる。
  10. 87の半量をふるいながら6の生地に加える。
    ※一度に全量の粉を入れると、混ぜた時に容器からあふれるので半量ずつ混ぜていきます。
  11. 9ゴムべらでまっすぐに切りながら、バター生地と粉類を混ぜていく。
  12. 10粉気が少し減ってきたら、生地をすくい上げるようにして混ぜる。
    ※ぐるぐるとかき混ぜるのではなく、すくいます。粉の白い色が完全に見えなくなるまで混ぜ続けます。片栗粉はグルテンができないので、しっかり混ぜても大丈夫。
  13. 11残り半量の粉をふるいながら加え、9~10と同様に混ぜる。
  14. 12生地の混ぜ終わり。全体がなめらかになり、白い粉が見えなくなればよい。
  15. 13用意した1の型に生地を詰め、表面をゴムべらで平らにならす。天板にのせ、170℃のオーブンで40分焼く。
    ※生地をさわりすぎるとふっくらした焼き上がりにならないので、軽くなでる程度で。生地の量は型の1/3程度の高さ。
  16. 14おいしそうな焼き色がつけば焼き上がり。取り出してケーキクーラーにのせ、粗熱をとる。生地と型の間にナイフを差して一周し、型からはずす。器に盛り、粉糖を茶こしでたっぷりふる。

Point1

湯せんにかけて混ぜる
グラニュー糖とバターは卵の生地に混ざりにくいので、湯せんにかけながら作業し、バターは通常よりも柔らかいペースト状にして加えます。このなめらかな生地が、ほろほろの焼き上がりにつながります。

Point2

同じバターケーキでも、パウンドケーキに比べてキメが細かく、ほろほろと崩れるもろさが魅力。
保存と食べごろ
密閉容器に入れて2週間。当日からおいしく食べられる。

Chef’s voice

軽さが出る片栗粉
イタリア菓子では片栗粉(じゃがいもでんぷん)を、フランス菓子ではコーンスターチ(とうもろこしでんぷん)をよく使います。片栗粉のほうがお菓子にした時の生地の浮きがよく、軽く仕上がります。イタリア人は、古くから現代人も好む味を楽しんでいたようです。



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藤田統三(ふじた もとぞう)/1970年大阪生まれ。フランス菓子専門店にてフランス菓子を学んだ後、ジェラートを極めるべくハーゲンダッツジャパン(株)に入社し、メニュー開発に携わる。97年イタリアンレストランにてイタリア人パティスリーシェフのもとで働いたことをきっかけに、イタリア菓子に魅せられる。99年に渡伊、ロンバルディア州ヴァレーゼ近郊のパスティッチェリーアで修業。帰国後は大阪のイタリア菓子店のシェフに就き、その間再度渡伊し、チョコレート専門店で修業。2005年東京・表参道の「ソルレヴァンテ」の立ち上げから参加、取締役統括シェフを務めたのち、16年夏、東京・池尻大橋に「ラトリエ モトゾー」を開店。イタリア菓子の歴史や古いレシピの研究などにも注力し、専門学校や大学などで指導も行う。

撮影:日置武晴

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