思わず歓声が上がる春のちらし寿司。お花見弁当からおもてなしまで

桜の開花の便りも次々と届き、いよいよ春めいてきました。そこで本日は春のおもてなしにもぴったりな彩り豊かなちらし寿司の作り方を、家庭料理の大家・榊せい子さんに教えていただきます。
材料(4人分)
- 寿司飯
- 白米
- 2合
- だし昆布
- 8cm角
- ◯寿司酢
- 酢
- 大さじ4
- 砂糖
- 大さじ2
- 塩
- 少々
- 寿司飯の具
- ◯蓮根
- 蓮根
- 100g
- 【A】二番だし
- 150ml
- 【A】砂糖
- 小さじ2
- 【A】みりん
- 小さじ2
- 【A】薄口醬油
- 小さじ1
- ◯椎茸
- 干し椎茸
- 10g(乾燥重量)
- 【B】二番だし
- 150ml
- 【B】砂糖
- 大さじ1
- 【B】みりん
- 大さじ1
- 【B】濃口醬油
- 大さじ1
- ◯かんぴょう
- かんぴょう(無漂白)
- 10~15g(乾燥)
- 【C】二番だし
- 200ml
- 【C】砂糖
- 大さじ1
- 【C】みりん
- 大さじ1
- 【C】薄口醬油
- 小さじ1
- ちらしの具
- ◯鯛の昆布締め
- 鯛のさく(背側)
- 1さく
- 昆布
- 鯛の2倍長さのもの
- 塩
- 適量
- 酒
- 適量
- (あれば)大徳寺納豆※
- 5粒ほど
- ◯薄焼き玉子
- 卵
- 3個
- 砂糖
- 小さじ1
- 塩
- 少々
- ◯青物
- こごみ
- 8本
- タラの芽
- 8本
- (あれば)浜防風の茎
- 適量
- 木の芽
- 10枝ほど
- (あれば)干しくちこ
- 適宜
- ※代用食材:豆鼓
作り方
- 準備前日
● 鯛の昆布締めを仕込み、冷蔵庫で寝かせる
● 寿司飯の具を作る(蓮根、椎茸、かんぴょう)
当日早めに
● 一番だし、二番だしをとる
● 白米を洗ってざるに上げる - 1寿司飯の具蓮根は皮をむいて薄切りにした後、1cm角に切る。ざるに入れて、さっと水で洗う。Aの材料と合わせて鍋に入れて火にかけ、中火で5~6分煮る。常温になるまで冷ます。
- 2干し椎茸は1時間ほど水で戻して石づきを切り除き、細かく刻む。Bの材料と合わせて鍋に入れ、中火で15分ほど煮詰める。常温になるまで冷ます。
- 3かんぴょうは流水でもみ洗いをし、10分ほど水に浸ける。鍋に入れ、たっぷりの水を入れて中火にかけ、柔らかくなるまで10分ほどゆで、ざるにとり水気をきる。4mm幅に細く切り、鍋にCと合わせて入れて火にかけ、中火で7~8分煮る。常温になるまで冷ます。
※もみ洗いをすることで苦みを取ります。
※漂白かんぴょうを使う場合は、塩でもみ洗いをしてから再度流水でもみ洗いをします。 - 4鯛の昆布締め昆布はさっと水洗いをし、そのまましんなりするまで15分ほど置く。
- 5軽く塩をまぶしたバットに鯛のさくを置き、上からも軽く塩をふる。
- 6昆布がしんなりしてきたら、酒で湿らせたキッチンペーパーで拭く。
※酒で拭くと旨みが加わるとともに、殺菌消毒の役割も果たします。 - 7
鯛の水分をキッチンペーパーで拭いたら、昆布で挟む。
- 8
鯛の側面も昆布でぴったり覆うように包んだら、ラップでしっかり巻いて、冷蔵庫に一晩置く。
※昆布締めや、だしをとる際に使った昆布は冷凍してとっておき、ある程度たまったら塩昆布にするとよいです。 - 9寿司飯白米は洗って、30分~1時間ざるに上げておく。鍋に移し、普段通りの水加減でだし昆布を入れて普段通りに炊く。
※炊飯器で炊いても結構です。 - 10酢、砂糖、塩を合わせて寿司酢を作る。
※砂糖が溶けにくい場合は電子レンジで少し温めます。 - 11炊き上がったご飯から昆布を取り出し、ご飯を寿司桶に入れ、しゃもじで切るようにして軽く混ぜ、粗熱を取る。寿司酢を回しかけ、菜箸で混ぜ合わせる。
※寿司酢を回しかけたら、全体にいきわたるように菜箸で混ぜ合わせます。菜箸を使うと粘り気も出にくくなります。寿司酢が全体にいきわたったら、寿司桶に寿司飯が広がるように平らにし、常温になるまで冷まします。
※あれば寿司桶を使うとよいですが、ない場合は炊いた鍋のまま寿司酢を混ぜても構いません。 - 12ちらしの具8の鯛の昆布締めの昆布を外し、身を薄切りにする。
- 13大徳寺納豆を5mm角ぐらいに刻む。
- 14鯛の薄切り1枚ずつに大徳寺納豆を少量ずつ挟む。
※大徳寺納豆がない場合は豆鼓で代用します。醤油の代わりなので、実山椒の醤油煮などを使っても結構です。 - 15薄焼き玉子を作る。ボウルに卵を割り入れてほぐし、砂糖、塩を加えてよく混ぜ合わせる。
※卵液をすいのうや目の細かいざるで漉すと、余分な白身が取れ、まだらにならず美しい黄色の薄焼き玉子が作れます。 - 16玉子焼き器をしっかりと熱し、油(分量外)を薄くひく。15の卵液を薄く流し込み、弱火で焼く。薄焼き玉子の縁が焼き上がって外れてきたら、そっと菜箸を入れて持ち上げて裏返してもう片面も焼き、すぐにまな板などに取り出す。残りの卵液も同じようにして薄焼き玉子を作る。
- 17粗熱が取れたら、2cm長さ5mm幅くらいの細切りにする。
- 18青物を作る。こごみは4cm長さに切る。タラの芽は軸の部分を切り落とし、外皮をむく。浜防風の茎は2cm長さに切る。
※菜の花などを使ってもおいしいです。 - 19熱湯に塩少々(分量外)を入れて、18のこごみとタラの芽を加え、1~2分ほど塩ゆでする。水にとり、ざるに上げる。浜防風の茎はさっと熱湯に通す。
- 20
仕上げ寿司飯に寿司飯の具をすべて混ぜ合わせる。大皿などの器に盛り、ちらしの具の薄焼き玉子を全体に散らし、鯛の昆布締め、こごみ、タラの芽、木の芽をバランスよく散らし、あれば干しくちこも切って散らす。
Point
大徳寺納豆煮た大豆を麴菌で発酵させ、熟成と天日干しを繰り返した発酵食品。糸引き納豆とは異なり、赤味噌や醬、中国の豆鼓に近い風味があります。一休禅師が伝えたとされ、室町時代から大徳寺の門前で作り続けられています。
Chef’s voice
昆布締めは前日、前々日から仕込むことができます。昆布締めにすることで、余分な水分が抜けて味が締まるほか、昆布の旨みも加わりおいしさも増し、優しい味わいの加減酢がよく合います。初心者でも扱いやすい、鯛や平目で作るのがおすすめです。
榊せい子(さかき せいこ)/料理家、裏千家正教授。1948年三重県伊賀市生まれ。帝塚山学院大学美学美術史学科卒業。父は書家の、故・榊 莫山。中学の頃から母について茶道を学ぶ。現在は、伊賀上野の邸宅で茶道を教えながら、四季折々の料理とお菓子でもてなす茶事・茶会を開く。著書は『榊 莫山家の茶懐石のおもてなし』『季節を愉しむ きものごよみ』(ともに世界文化社刊)。
撮影:森山雅智
12か月のおうち懐石

家庭料理の大家・榊せい子先生が作る和食や懐石料理。ご飯の炊き方から、家庭で美味しく作りたい「ごま豆腐」「鯛の昆布締め」「かぶら蒸し」「白和え」「西京焼き」など多くの和食レシピを、初心者目線でやさしく解説しています。この一冊で和食の基本~アレ…