人気のシェフに教わる、本当に美味しいオニオングラタンスープの作り方

肌寒い夜には、あつあつのオニオングラタンスープで心も体も温まりましょう。東京・神楽坂で人気のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフの谷 昇さんに教えていただくのは、本当に美味しい、ベーシックなオニオングラタンスープです。ぜひマスターしてください。
このスープの美味しさは、じっくり炒めた玉ねぎの甘味と旨味がすべて。濃い茶色になるまで炒めることが重要です。ただし、気をつけたいのは玉ねぎの水分量。新玉ねぎならたっぷりの水分を含んでいますが、それに比べると貯蔵したものは水分が少ない。前半はムラなく火を通すために水を加え、後半は旨味と焦げつき防止のために加えますが、この水加減はそれぞれの玉ねぎに合わせてよく見極めて調節してください。仕上げの焼き色は高温で一気にガッと。火を入れすぎるとスープが沸いてしまうので、短時間で焼きます。
材料(4人分)
- 玉ねぎ
- 4個(800g)
- バター
- 60g
- 水
- 740~760ml
- 鶏ガラスープ
- 1l
- バゲット(薄切り)
- 8~12枚
- グリュイエールチーズ
- 70g
作り方
- 1玉ねぎは縦半分に切り、繊維に沿ってごく薄い薄切りにする。
- 2
鍋にバターを入れて強火にかけ、すぐに1、水400mlを入れ、木べらで混ぜる。水がある間は神経質に混ぜなくても大丈夫。鍋肌についたものだけは焦げやすいので、こすって水があるところに落として混ぜる。中火にして炒める。
- 3
12~13分して水が減ってきたら、水200mlを加えて炒める。ここまでの水は玉ねぎにムラなく火を通すため。
- 4
20~30分炒めるとうっすらと色づいてくる。こうなったら鍋から離れず、鍋底をこそげるように絶えず混ぜ続ける。鍋肌に焼き色がついたら、玉ねぎでこそげ落としながら炒める。
- 5
20分ほど炒めると、だいぶ茶色くなってくる。水20mlを鍋肌にかけて足し、混ぜながら炒めるを7~8回繰り返す。ここからの水は旨味の素になる鍋肌の焼き色を玉ねぎに戻すためと、焦げつきを防ぐため。水が多いと鍋肌に焼き色がつかないので、少しずつ加える。さらに20分ほど炒め、下の写真のような濃い茶色になれば炒め上がり。
- 6
鶏ガラスープを加えて混ぜる。煮込まなくてよい。好みの濃度に調整して味をみる。あとで塩味の強いチーズを加えるので、ここではやや薄めでよい。
- 7
器に6を注ぎ、薄く切って軽くトーストしたバゲットを表面を覆うように2~3枚ずつのせ、細くおろしたグリュイエールチーズをたっぷりのせる。高めの温度のオーブンかオーブントースターで焼き、短時間で濃いめの焼き色をつける。
谷 昇(たに のぼる)/1952年東京生まれ。服部栄養専門学校在学中から六本木「イル・ド・フランス」で働き、卒業後就職。76年と89年に渡仏し、アルザスの三ツ星レストラン「クロコディル」などで経験を積む。帰国後は六本木「オー・シザーブル」などでシェフを務め、94年東京・新宿区納戸町に「ル・マンジュ・トゥー」開店。権威ある格付け本でも連続して高い評価を受ける人気店。月に1回、町田調理師専門学校の講師も務める。2012年、辻静雄食文化賞専門技術者賞を受賞。著書『ル・マンジュ・トゥー素描するフランス料理』(柴田書店)、『ビストロ仕立てのスープと煮込み』(世界文化社)など多数。
撮影:原 務
ル・マンジュ・トゥー 谷 昇シェフの ビストロ流 ベーシック・レシピ

ミシュラン二つ星レストラン「ル・マンジュ・トゥー」谷昇シェフに習う、極旨のフレンチと洋食。誰でも必ずおいしい料理が作れる、谷流メソッド満載。1つのメニューを作りながら料理のコツや素材の扱い方がマスターでき、アレンジレシピまで習得できます。