【レシピ・ちらしずし】そうだったのか!無駄な手間を省いた、簡単でおいしいすし飯の作り方

食べたいけれど、すし飯から作ろうとすると時間と手間がかかりそう…とつい敬遠しがちな「ちらしずし」。実はちらしずしを作るときの私たちの“常識”には、必ずしも必要ではない手間が含まれていたようです。東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長・野﨑洋光さんが、もっと簡単に、しかもおいしく作る方法を教えてくださいます。

「ご家庭でおすしを作るとき、いくつか誤解があるように感じています。
 たとえば『ご飯は堅めに炊く』。これは寿司屋のにぎりずしの話。本当はすしはご飯が柔らかめのほうがおいしいのですが、にぎりにくかったりつまみにくいから、堅めに炊くわけです。ちらしずしならお箸で食べるので、普通のご飯を炊くのと同じ水加減でかまいません。

 次に『うちわであおぎながらすし酢を混ぜる』。昔のように米1升分を作るならその通りです。でも2~3合分なら、そんな必要はありません。飯台やボウルに取り出さなくても、ご飯が炊けたらそのまま炊飯器の内釜で混ぜればいい。むしろご飯があつあつだから、すし酢を吸いやすくなります。
 こう考えると、ずいぶんと簡単になって、作ってみたくなるでしょう。昔のやり方にとらわれた無駄なことはしなくていいんです。

 ここでご紹介するのは、すし飯に薬味を混ぜた“薬味ずし”。この薬味もすし酢と一緒に混ぜ込みます。こうすると、薬味の香りと旨みがすし飯全体に行きわたって、風味豊かになります。今回はまぐろやいくらをのせたおもてなし風ですが、どんな具をのせても、ワンランクアップします」

材料(作りやすい分量)

2合(360ml)
360ml
すし酢(作りやすい分量。70mlを使う)
 酢
180ml
 砂糖
120g
 塩
50g
薬味
 しょうが(みじん切り)
1かけ分
 大葉(みじん切り)
10枚分
 いりごま
大さじ2
まぐろ(赤身)
100g
づけだれ
 しょうゆ
25ml
 みりん
10ml
いくら
10g
錦糸玉子
薄焼き玉子1枚分
海老
2尾
10ml
三つ葉
1束
焼きのり
適量

作り方

  1. 準備・錦糸玉子は薄焼き玉子を4cm長さのせん切りにする。
    ・海老は包丁で細かく叩く。小さい鍋に海老と酒を入れ、中火にかけて箸でほぐしながら炒る。赤くなり酒がなくなったらざるに上げて汁気をきる。
    ・三つ葉はさっとゆで、3cm長さに切る。
  2. 1米を浸水させ、炊飯器で炊く。
    米は洗ってたっぷりの水(分量外)に15分浸け、ざるに上げて15分おく。炊飯器に米と分量の水を入れ、早炊きモードで炊く。
    ※米は浸水ずみなので、必ず早炊きモードで炊いてください。
  3. 2すし酢を作る。
    ボウルにすし酢の材料をすべて入れ、よく混ぜて溶かす。とくに塩が溶けにくいので注意。
    ※作りおきしておくと便利。自然に塩が溶けます。
  4. 3ご飯にすし酢をかける。
    1が炊き上がったら2を70ml回しかける。
  5. 4薬味を混ぜる。
    続いて薬味をすべて入れ、しゃもじで切るようにして全体を混ぜる。
    ※混ぜすぎない。混ぜすぎるから食感が悪くなります。
  6. 5薬味ずしの水分を飛ばす。
    ボウルに4を移し、しゃもじで広げ、余分な水分を飛ばす。ぬれ布巾をかぶせ、乾かないようにする。
    ※薬味の緑色が酢で変色しますが、気にしなくてかまいません。
  7. 6具を用意する。
    小鍋にみりんを入れて火にかけ、煮きる。しょうゆと合わせて冷まし、づけだれを作る。まぐろを湯にさっとくぐらせて水気をきり、一口大に切る。づけだれに10~15分つけ、ざるに上げて汁気をきる。
    ※づけはつけすぎるとまぐろの風合いがなくなります。最長15分で充分です。
  8. 7盛りつける。
    器に5を盛り、6 、いくら、錦糸玉子、海老の酒炒りを彩りよくのせ、のりをちぎって散らす。三つ葉も散らす。
    ※おすしは、ご飯が少し冷めたぐらいの温かさが一番おいしい。この作りたての風合いは、家庭でしか味わえません。

Chef’s voice

ここでご紹介したすし酢の分量は300g強。お米1升分、つまり10合分です。1合につき35㎖、だいたい大さじ2強を使えばちょうどよい味つけになります。すし酢は作りおきができ、むしろまとめて作っておくと溶けにくい塩が完全に溶けます。これがあれば、思い立ったらすぐにおすしが作れます。

野﨑洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長。1953年福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業。栄養士でもあり、従来の考え方にとらわれない今の時代に合った料理哲学をやわらかな語り口で、分かりやすく説く稀有な料理人。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。『野﨑洋光 和のおかず決定版』(小社刊)、『日本料理 前菜と組肴』(柴田書店)など、著書も多数。

撮影:三木麻奈
大皿協力:吉村昌也