【レシピ・プレーンオムレツ】フライパンの持ち方からプロが指南!本当に上手にプレーンオムレツを作る方法

プレーンオムレツは基本的な卵料理のひとつなので、何度も作っているというかたも多いはず。でも作るたびに、どこかいびつだったり、固くなったり、味が均等じゃなかったりしていませんか? まるで手馴れたように、いつでも本当においしく作れたら、かなり嬉しいですよね。そんなあなたに、おいしいプレーンオムレツを作る秘訣を大公開。東京・神楽坂で人気のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフの谷 昇さんに教えていただきます。
「オムレツは卵料理のきほん」などと言われますが、奥が深くて、とてもとても難しい。
僕の目指すオムレツのでき上がりは、まず左右が均等の美しい形に焼き上がっていること。そして切ると、ごく薄い薄焼き卵が半熟のスクランブルエッグを包み込んでいること。
卵液は液状、しかも火が入ると一気に固まり始め、火が入りすぎるといきなり堅くなる。じつに難しい素材です。理想の状態に焼けるようになるまで、僕は修業時代に腱鞘炎になるほど練習しました。
そこでわかったのが、まずはフライパンの持ち方が大事だということ。オムレツはフライパンの形、とくに奥のエッジを利用して焼くので、鉄板の面がまっすぐでないと、形が偏ります。その状態で、体に対して平行にして柄を叩いて、卵を手前に返しながら巻いていきます。
材料(1人分)
- 卵
- 3個
- 塩
- 0.5g
- 生クリーム(乳脂肪分38%)
- 大さじ1
- バター
- 10g
作り方
- 1
卵を溶き混ぜる。ボウルに卵を割り入れ、箸でしっかりと混ぜる。卵白のコシをきりたくないので、お箸を使います。泡立て器は厳禁。コシがきれると凝固力が落ちていきます。
- 2
調味料を混ぜる。1に生クリームと塩を加え、さらによく混ぜて卵液を作る。生クリームがなければ牛乳、なければ水をそれぞれ同量加えてください。
- 3
焼き始める。フライパンにバターを入れ、中火にかける。フライパンは小さめ(直径約21cm)がおすすめ。熱したフライパンにバターを入れないでください。焦げやすくなります。
- 4
卵液を加える。3に2を一気に加える。バターが溶けきらず、まだかたまりが残った状態がよい。
- 5
外側から内側に混ぜる。箸でフライパンの外側から内側に円を描くように混ぜる。素早く何度もくり返す。卵はフライパンの外側から固まります。固まりかけたところで中央に混ぜ込み、外側に卵液を流す、このくり返しで均一に柔らかく火が通ります。
- 6
半熟になったら底面を焼く。全体が半熟状になったら、1~2秒火にかけたまま動かさずに焼く。ここでスクランブルエッグを包み込む“薄焼き卵”を作ります。慌てなくて大丈夫。危ない! と思ったら火からおろして落ち着いて作業しましょう。
- 7
卵を向こうに折り返す。フライパンを斜めにし、手前から奥へ卵を折る。向こう側の卵を箸ではがしておく。
- 8
柄を叩いて卵を手前に巻く。正しくフライパンを持って鉄板をまっすぐにし、柄を叩いて卵を手前に返す。柄を叩く腕は必ず自分の体に対して平行。こうしないと卵が向こう側や外に落ちます。
- 9
一周したら、巻き終わり。数回柄を叩いて卵が一周し、合わせ目が上に戻ったらでき上がり。僕は若い頃、壁に向かってフライパンをふって、中身が飛んで壁に当たらないようひたすら練習していました。
- 10
柄を持ち替えて皿に盛る。柄を逆手に持ち、合わせ目が下になるようフライパンを返して皿に盛る。
Point 1

1.親指と人差し指で輪を作り、フライパンの柄に差し入れる。両指の接点がちょうど柄の中心にくる。
2.他の指3本を人差し指に揃え、しっかり固定する。5本の指先がちょうど柄の中心線に並ぶ。
Point 2

水分を加えて卵の凝固温度を変えると簡単!卵というのは複雑な素材で、1つの中に卵黄、液状卵白、濃厚卵白があります。火を入れると、80℃ぐらいで固まりきってしまう。それを柔らかくふわっと焼き上げるために、卵に水分を加えます。凝固温度が上がって焼きやすくなりますし、加熱によって水が膨張して全体がふわっとします。 味の面からいうと生クリーム、なければ牛乳や水でかまいません。何も入れないと、すぐにカチカチに堅くなります。また卵は塩がききやすいので、薄めの味つけにしてください。ここでは卵3個に対して0.5g、ひとつまみの半分です。そして、オムレツにこしょうを使うなんて、言語道断! 香りが卵の味を消してしまいますから。
Chef’s Advice


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谷 昇(たに のぼる)/東京・神楽坂のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ。1952年東京生まれ。アンドレ・パッション氏がシェフを務める「イル・ド・フランス」やアルザスの三ツ星レストラン「クロコディル」などで研鑽を積み、六本木のビストロ「オー・シザーブル」のシェフに。94年「ル・マンジュ・トゥー」をオープンする。長年にわたり月に1回、町田調理師専門学校の講師も務めており、それらの経験を踏まえた誰もがわかりやすく、理路整然とした教え方に定評がある。
撮影:日置武晴
「ル・マンジュ・トゥー」谷 昇のおいしい理由。フレンチのきほん、完全レシピ

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