【レシピ・ビーフステーキ】焼く前にこしょうは不要。フレンチの達人に教わるおいしいステーキの焼き方

猛暑でやられた心と体を、おいしい肉で元気にしたい。そう、食欲のない時こそ、スタミナを! そこで本日ご紹介するのは、東京・神楽坂のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフの谷 昇さんに教えていただくステーキです。「塩、こしょうして焼く」という常識は忘れて、絶品ステーキを焼いてみましょう。
薄切りの牛肉を焼くのは、本当にスピーディーで簡単。かたまり肉と違って強火で1分以内、瞬時にステーキにする「ステーク・ミニッツ」が原則です。
片面が焼けたら、裏返して焼き終わり。そこに焼き加減うんぬんはありません。弱火でゆっくり焼いては、火が入りすぎます。
熱々に熱したフライパンでも焼けますが、基本は網の上で直火でグリルにする――つまり直火で800℃ぐらいで焼きます。フライパンで焼くとだいたい200℃。網で焼くとそれとは全く違う香りを帯び、そしておいしそうな焼き色がつきます。高温で焼くことで、瞬間的にたんぱく質の“焦げ”ができるからです。
ステーキは“網に焼かせる”ぐらいな気持ちで作れる料理。そのかわり、網が真っ赤になるまでよーく焼いてから肉をのせることが大切です。
材料(2人分)
- 牛ロース肉(1枚270g)
- 2枚
- 塩
- 4g
- エクストラ・ヴァージン・オリーブ油
- 少量
- ポム・アリュメット
- じゃがいも
- 適量
- 揚げ油
- 適量
作り方
- 1
肉の脂や筋を切り落とす。牛ロース肉の形に沿って、周りの脂や筋を切り落とす。
- 2
形を整える。すぼんだほうの脂は少し残して、形を整える。正味180gになる。この仕上がりの形をニューヨークカットという。
- 3
塩をふってなじませる。2の両面に1枚あたり2gの塩をふり、やさしくなじませて少しおく。※「塩、こしょうして焼く」という言い回し、忘れましょう! とくに焼く前にこしょうをふるのは厳禁。焼く間に確実に焦げます。仕上げにかけてください。
- 4
牛肉にオリーブ油を塗る。3の両面にオリーブ油を少量かけ、薄く塗り広げる。※網にくっつくのを防ぐための油です。最小限しか使いたくないので、表面に薄く塗れる量で充分。
- 5
焼き網を焼いて肉をのせる。焼き網を強火にかけて真っ赤になるまで焼き、4をのせる。※あれば、鉄のグリル板を使うのがおすすめ。より高温になって瞬時に焼くことができ、美しい焼き目もつきます。
- 6
短時間で焼く。20秒ほどしたら90度回転させてまた20秒ほど焼く。焼き目が格子状になるようにする。※焼き加減を考えるより、とにかく強火で手早く!
- 7
裏返して6と同様に焼く。裏面も短時間で、焼き目が格子状になるように焼く。※格子状の×の間の肉がレアな状態に焼けたらベスト!
- 8
仕上げに脂身をあぶる。肉が焼けたらトングで持ち上げ、2で残した脂身を少しあぶる。皿に盛り、ポム・アリュメットを添える。
Chef’s voice 1
Chef’s voice 2
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谷 昇(たに のぼる)/東京・神楽坂のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ。1952年東京生まれ。アンドレ・パッション氏がシェフを務める「イル・ド・フランス」やアルザスの三ツ星レストラン「クロコディル」などで研鑽を積み、六本木のビストロ「オー・シザーブル」のシェフに。94年「ル・マンジュ・トゥー」をオープンする。長年にわたり月に1回、町田調理師専門学校の講師も務めており、それらの経験を踏まえた誰もがわかりやすく、理路整然とした教え方に定評がある。
撮影:日置武晴
「ル・マンジュ・トゥー」谷 昇のおいしい理由。フレンチのきほん、完全レシピ

谷シェフ自身がはじめて!という料理の「本質」に迫った渾身の「きほん」レシピ約40品。鶏もも肉とむね肉の焼き方の違いは? 野菜にドレッシングをからませるとは? いちばんの基本で、いちばん知りたくて、いちばんの料理作りのコツ。その大切なことを存…