【レシピ・スパゲッティのボローニャ風ミートソース】ひき肉の歯ごたえ&旨みたっぷり! プロの技を教わる

本日ご紹介するのは、イタリア料理界のレジェンド、東京・経堂「エル・カンピドイオ」オーナーシェフの吉川敏明さんに教えていただく、ミートソースのスパゲッティです。日本人にとってベーシックなスパゲッティのひとつですが、きちんとミートソースから作るというかたは少ないのでは? 丁寧な解説のとおりに作れば、おいしいソースを必ずマスターできますよ。

粗びき肉を弱火でゆっくり炒めるべし。

ミートソースはボローニャが発祥地であることから「ボロニェーゼ」と呼ばれます。しかし、その伝統レシピは、全土に広まっているホールトマト主体で煮るソースとは違います。トマトペーストとたっぷりの赤ワイン、特産の豚肉加工品を加えるなど、酸味のきいた個性的な味わいです。

ここでは、マイルドで食べやすく、失敗の少ないイタリア全国標準のレシピをマスターしましょう。

おいしいミートソースとは、ひき肉の一粒一粒に歯ごたえがあり、旨みがあり、ジューシーなもの。ソースの中で肉の粒がだしがらのように硬くなっていたら失敗です。そうならないためには、粗びき肉を使い、最初にカリカリに炒めてしまわないこと。煮る工程より、どう炒めるかがミートソースの出来を左右する、といってもいいでしょう。

あせらずゆっくり、弱火で炒め始めると、しばらくして水分がにじみ出てきますから、そうなったら火を強めて一気に水分をとばします。これでアクが抜け、肉の臭みもなくなります。ひき肉を炒めるのは火を入れるだけではなく、余分な水分をとばすことも大切な目的。ここまでやれば炒め終わりです。


香味野菜は具ではなく、だしの素!

うまく炒めるには、ひき肉と香味野菜を別々に炒めるのが合理的です。それぞれをベストの状態に炒めて、煮る直前に合わせればいい。一緒に炒めると、水分がうまくとばなかったり、炒めすぎたりと、なかなかむずかしいですよ。

また、香味野菜はごくみじんに切ることが大切です。ミートソースにおける野菜は具ではなく、風味づけの“だしの素”です。ひと切れが大きいと火が入るのに時間がかかるし、何よりひき肉よりも大きいようでは肉の食感のじゃまになりますから。

材料(2人分)

スパゲッティ(直径1.9mm)
160g
ゆで汁用の水
2l
ゆで汁用の塩
16g(水の0.8%)
ミートソース
 粗びき肉(牛肉、または合いびき)
80g
 玉ねぎ(みじん切り)
10g
 セロリ(みじん切り)
10g
 にんじん(みじん切り)
10g
 サラダ油
適量
 ポルチーニ(ドライ)
4g
 ぬるま湯(ポルチーニのもどし用)
80ml
 赤ワイン
90ml
 ホールトマト(缶詰)
180g
 ローリエ
1/2枚
 ナッツメッグ
ひとつまみ
 塩
ひとつまみ
 黒こしょう
適量
 湯
100mlを用意
 バター(小角切り)
15g
仕上げ用
 パルミジャーノ・レッジャーノ
大さじ3

作り方

  1. 準備●フライパンはフッ素樹脂加工のものを。鉄製はひき肉を炒めるときに焦げやすいので向かない。
    ●ソースを作る前に、スパゲッティのゆで汁用の水を沸かし始める。
    ●ホールトマトをボウルに入れ、泡立て器でつぶす。
  2. 1ドライのポルチーニをもどす。
    ポルチーニをぬるま湯に15分ほど浸けてもどす。柔らかくなったら水分を絞り、ひき肉と同じくらいのみじん切りにする。もどし汁はとっておく。
    ※ポルチーニがなければ、マッシュルームや干ししいたけなどで代用しても。
  3. 2ひき肉を炒める。
    ひき肉とサラダ油小さじ1をフライパンに入れ、弱火にかける。ほぐしながら炒め、肉が薄茶色になり水分が出てきたら、中火にして水分をとばしながら炒める。
    ※ひき肉に水分をこもらせておかないように。ひき肉は100gに増やしてもOK。
  4. 3炒め終わり。
    水分がとび、薄茶からこげ茶色になったら炒め終わり。肉をいったん取り出す。
    ※ひき肉は中まで火が入っていますが、弾力もジューシー感も保たれています。
  5. 4野菜を炒める。
    3のフライパンにサラダ油大さじ1を足し、香味野菜(玉ねぎ、セロリ、にんじん)を入れて弱火で炒める。
    ※フライパンに残った肉の脂を利用しながら、油を足して炒めます。少し色づくくらいまで炒めて大丈夫です。
  6. 5ひき肉を戻す。
    野菜が炒まったら、3のひき肉を戻し入れる。
  7. 6赤ワインで風味づけする。
    赤ワインを入れ、強火にして沸かしながらよく混ぜ、アルコール分をとばす。
    ※沸かす時間は20秒ほど。フライパンについた肉や野菜の旨みを煮溶かし、ソースに混ぜ込みます。
  8. 7トマトとローリエを加える。
    つぶしておいたトマトとローリエを入れて混ぜる。
    ※トマトを入れていたボウルにトマト汁が残るので、少量の水(分量外)で溶かし、これもフライパンに加えます。
  9. 8ポルチーニともどし汁を加える。
    1のポルチーニを加え、もどし汁は茶こしでこしながら入れる。
  10. 96~7分煮詰める。
    ソースがプツプツと泡立つくらいの弱火にし、6~7分煮詰める。焦げつかないよう、適宜混ぜる。
    ※水分がとんで、次第に濃度が出てきます。
  11. 10スパゲッティをゆで始める。
    9のソースを煮詰めている間に、ゆで汁用の湯を沸騰させ、分量の塩を入れてスパゲッティをゆで始める(関連記事参照)
  12. 11ナッツメッグや塩で調味する。
    煮詰めた9のソースに、ナッツメッグ、塩、黒こしょうを順次加え、そのつどよく混ぜる。
  13. 12湯でのばす。
    ソースに湯大さじ3を入れていったんのばし、再び混ぜながら煮詰め、味を凝縮する。
    ※より濃厚な味にしたいときは、この工程をくり返しましょう。ブイヨンの素を加えてもかまいません。
  14. 13ソースのでき上がり。
    混ぜたときに、ソースが流れない濃度に煮詰まったらでき上がり。ローリエを除き、火を止めておく。
    ※ややドライな状態ですが、あとで湯やバターが入るので、これくらいまで煮詰めても大丈夫。
  15. 14湯とバターを加える。
    スパゲッティのゆで上がりが近くなったら、13に湯大さじ3を入れてのばし、中火にかけて温める。スパゲッティがゆで上がったら、バターを加える。
    ※バターは入れるだけ。溶かす必要はありません。
  16. 15スパゲッティを入れて混ぜる。
    スパゲッティの水気をきって14に入れ、トングでつかんで混ぜて、ソースをからませながらバターも溶かす。
    ※スパゲッティはゆで汁を完全にきらず、少量をまとわせた状態でソースへ。混ぜ加減はソースの色が全体に回る程度。
  17. 16チーズの半量を混ぜる。
    火を止めて、仕上げ用のパルミジャーノ・レッジャーノの半量をふりかけて混ぜる。
    ※チーズを混ぜるときは、必ず火を止め、2回に分けて。均一に混ぜるコツです。
  18. 17残りのチーズを混ぜて盛る。
    残りのチーズをふりかけて混ぜる。温めた器に盛りつける。

Chef’s voice

戦後、日本に定着したミートソースは、皿にスパゲッティを盛り、その上にソースをかけてチーズをふるというスタイルでした。でも、ソースもチーズも、フライパンの中でスパゲッティとよく混ぜたほうがしっかりからんで旨みがなじみ、断然おいしくなります。チーズの量も少量では意味なし。たっぷり入れてこそ、旨み効果が出ます。



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吉川敏明(よしかわ としあき)/1946年、東京生まれ。1965年、19歳でイタリアへ渡り、ローマのホテル学校「エナルク」で学ぶ。卒業後、ローマのレストランなどで勤務。帰国後、都内のレストランなどで料理長を務めたあと、77年、西麻布に「カピトリーノ」をオープン。本場そのもののイタリア料理が食べられると、人気を博す。2008年に店を閉め、2009年、経堂に移転、“ローマ風ワイン居酒屋”として「エル・カンピドイオ」をオープンした。今でもイタリアの料理文献や現地の新聞、雑誌を読むなど、豊富な知識を持ち、著書も多数。師と仰ぐイタリア料理人も多い。

撮影:日置武晴

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