【レシピ・鶏もも肉のソテー】鶏もも肉は皮から焼かないのがおいしさの秘訣!

皮はパリッと身はやわらかくてジューシー。定番の「鶏もも肉のソテー」をもっとおいしく作る方法がありました! ふつう、鶏肉は皮から焼きますが、その焼き方にちょっとした秘訣があるんです。
フレンチの名店「ル・マンジュ・トゥー」の谷 昇シェフに教えていただいたのは、家庭で作れるフレンチの基本。ソースはなくてよし。いつもの鶏肉が、シンプルでとびきりおいしい鶏のソテーに大変身します。 

材料(2人分)

骨付き鶏もも肉(1本220g)
2本
5g
サラダ油
小さじ2
じゃがいも(皮付きのままひと口大に切る)
3個分
黒こしょう
適量

作り方

  1. 1関節でもも側とすね側に分ける。
    すね側を左にして置き、手前の脂のかたまりの少し左側(すね側)にある関節を確認。関節に包丁を入れる。これで楽に切り分けられる。すね側ともも側で繊維の方向や入り方が違うので、別々に焼いたほうが簡単においしく焼けます。
  2. 2足首のアキレス腱を切る。
    すね側の端から約2㎝のところに包丁を入れ、1周させてアキレス腱を切る。刃先で肉を端に寄せて、丸く形を整える。アキレス腱は強くて太いので、切らないと火が入ったときにぐっと縮み、肉がつられて焼きにくくなります。
  3. 3もも側の身だけに塩をふる。
    身1枚あたり塩1gを均一にふる。皮にはふらない。
  4. 4すね側の断面にも塩をふる。
    すね側の断面(身)に1本あたり0.5〜1gの塩をふる。全体を手で何度かしごき、形を整える。
  5. 5もも側の身からさっと加熱。
    フライパンにサラダ油を入れて弱めの中火にかけ、すぐに3 を身を下にして入れる。表面が軽く白っぽくなるまで火を入れる。先にもも側から加熱するのは、焼くのが目的ではありません。身と皮の間の薄い筋に軽く火を入れることで、6で焼き始めたときに、反っくり返るのを防ぎます。
  6. 6皮側から焼き始める。
    5 を裏返し、皮を下にして焼き始める。すね側も入れる。フッ素樹脂加工のフライパンは、あらかじめ熱くしないでください。これ、皮つきの鶏肉を焼くときの鉄則です!
  7. 7下に油をすべらせて焼き続ける。
    もも側は一番盛り上がった部分をフライパンのカーブに当て、トングで持ち上げて下に油をすべらせながら焼く。すね側は焼き色がついたらトングで返し、全体に色づける。
  8. 8熱い油をすくってかける。
    フライパンを斜めにして、熱い油をスプーンですくって鶏肉にかけながら火を入れていく(アロゼという)。熱いのでヤケドに注意。大きめで、柄の長めのスプーンが安全です。
  9. 9じゃがいもを入れる。
    すね側にある程度焼き色がついたら、じゃがいもを入れる。フライパンをゆすって油をからませながら焼く。じゃがいもにも、鶏肉のおいしいジュースを分けてあげてください。にんにくを皮付きのまま1個入れると、なおよし!
  10. 10もも側の火の通り具合を確認。
    もも側を指で押さえ、弾力が出て火が入っているかを確かめる。皮がおいしそうな焼き色になるまで焼く。鶏の皮は、しっかりと焼ききらないとおいしくありません。「おいしそう!」と思うパリッ香ばしい状態まで焼いてください。
  11. 11もも側の肉を取り出す。
    もも側にほぼ火が通ったら、先に取り出す。骨付きのすね側は火が通るのに時間がかかります。もも側に火が入りすぎないよういったん取り出し、仕上げのときにまた戻します。
  12. 12塩をふり、さらに焼く。
    塩1gをふって焼き続け、じゃがいもに焼き色がついたら竹串を刺して堅さをみる。じゃがいもは均一に火入れしなくていい。焼き色も堅さも違っていい。たまにほくほく、たまにじゃりじゃり、その味のグラデーションがおいしさのひとつです。
  13. 13すね側の骨の周りに火を通す。
    すね側の骨の周りに赤い血が残っていたら、熱い油をかけてきちんと火を通す。
  14. 14もも側を戻し、仕上げに入る。
    取り出した11を戻し、フライパンをふって水分を飛ばしながら焼く。ここからは、油を介して火入れしていたのを、鉄板の上で仕上げる、というイメージです。
  15. 15油を拭き取る。
    余分な油をペーパータオルできれいに拭き取る。鶏をじゃがいもには充分旨みが行きわたっているから、余分な油はじゃま。きれいに拭き取ってください。
  16. 16じゃがいもの焼き色を調整。
    さらに数回フライパンをふり、じゃがいもにおいしそうな焼き色をつける。この段階で見るのはじゃがいもの色だけ。鶏にはもう火は充分入っているから、気にしなくていい。油がなくなって14から変化したサウンドにも耳を傾けて。音がしなくなったら、素材に水分がなくなってきた証拠。ここから焦げやすくなります。
  17. 17火を止め、黒こしょうをふる。
    火を止め、黒こしょうを数回挽き、フライパンをさっとあおり、余熱で香りをまとわせる。こしょうをふるのは火を止めてから。パセリのみじん切りがあれば、こしょうと一緒に加えてもおいしいです。

Point 1

塩をふるのは、身側だけ。これ原則です。素材が変わっても同じです。皮にふってもしみ込まずにはじくので、焼くと油に移って、焦げたようになる。そんな“焦げた油塩”の中で素材を焼くと、そのいやな味をまといますよね。また、身に塩をしたら、できれば15~30分ぐらいおいてください。塩が浸透するから、味つけはこれだけで完了です。

Point 2

フッ素樹脂加工のフライパンには冷たいうちに素材を入れてもいい。フライパンを熱々にしてから素材を入れる、と思っている人、多いですよね。これは鉄のフライパンを使うときのやり方。よく焼いておかないと素材がこびりつくからです。フッ素樹脂加工のフライパンには必要ありません。

Chef’s voice

焼きあがった鶏もも肉の断面を、よーく観察してください。筋や腱に火が入って、透明になっているでしょう。これ、コラーゲンです。鶏がいつも動かしている部位だから、こんなに筋肉質。きちんと火を入れてあげると、もも肉の旨みはいっそう強く、おいしくなります。

谷 昇(たに のぼる)/東京・神楽坂のフレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ。1952年東京生まれ。アンドレ・パッション氏がシェフを務める「イル・ド・フランス」やアルザスの三ツ星レストラン「クロコディル」などで研鑽を積み、六本木のビストロ「オー・シザーブル」のシェフに。94年「ル・マンジュ・トゥー」をオープンする。長年にわたり月に1回、町田調理師専門学校の講師も務めており、それらの経験を踏まえた誰もがわかりやすく、理路整然とした教え方に定評がある。

撮影:日置武晴